
2025年6月施行の改正刑法で拘禁刑が導入されたことをきっかけに、札幌刑務所では受刑者と対話を重ねる「当事者研究」と呼ばれる取り組みが行われています。
前編で「当事者研究」を受けてきた受刑者1人が2026年春に出所しました。
一方で、対話を続けても、再び刑務所に戻ってきてしまう人もいます。
明治以来の大改革である拘禁刑の導入の中で、立ち直りと向き合う現場の現在地を追いました。
3月、札幌刑務所に北海道医療大学と大阪大学の教授らでつくる研究チームと刑務官が集まりました。
この日は、当事者研究を経て出所した受刑者について、研究の成果を検証するミーティングが行われていました。
窃盗などを繰り返し服役を重ねてきた60代のAさんには、双極性感情障害という気分の浮き沈みが激しくなる脳の病気がありました。
出所前に実施された当事者研究ではAさんはこんな話をしていました。

「過去のこと、これは全部清算しなきゃならないから。前科が9から10あるから…」
すると、北海道医療大学・向谷地生良特任教授がこう問いかけます。
「気分の病気を持っていますよね。これは自分でわかるのですか。ちょっと調子が変わってきたとか」
Aさんは「わかります。朝にはもう気分が上がっているなとか、今日はだめだなっていう」と答えていました。
塀の外では、グループホームなどで支援を受けていたAさん。
しかし、自分の怒りをコントロールできないため職員に暴言を吐くなどのトラブルが絶えず、気づけば居場所を失って塀の中に戻ってきてしまっていたのです。
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