2026.06.07

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刑務所を出たあとの「社会がこわい」受刑者の本音 再び戻らないための居場所づくり

「もう戻らない」決意が揺らぐ理由

当事者研究を経て社会で歩み始めた人もいれば、再び塀の中に戻ってきてしまう人もいます。
札幌刑務所で当事者研究を受けて出所した40代のSさん。
2025年11月、実家のある静岡県で駐車中の他人の車を傷つけて逮捕・起訴されました。

3月、浜松拘置支所に勾留されていたSさんは、記者の面会に応じ、こう話しました。

「社会は好きなことができるところだけど怖い。自分が生きていくうえで必要なことは全部やらないといけない。刑務所の方が安心できる場所になってしまった。本来は逆じゃないといけないと思う」

「もう戻らない」という決意が揺らいでしまう理由については
「決意自体は変わらないが、自分の思うようにいかないときに、社会での生活に嫌気がさしてしまう」と打ち明けます。

「人によって態度を変える人がいたり、グループホームで金銭管理をされたり。
人間関係や施設のルールで納得がいかないことがあると、刑務所に戻りたくなってしまう」

札幌刑務所での当事者研究はSさんに何を残したのか、記者がたずねると…。

「経験や研究チームの存在は生きている。自分自身が成長するために、誤った道へと踏み外さないために相談できる相手がいることは大きい。刑務所に入っても手紙のやり取りは続けて、生活の悩みごとができたら相談しようと思う」

3月19日、静岡地裁浜松支部はSさんに、拘禁刑2年6か月の実刑判決を言い渡しました。
大村明菜裁判長は、量刑の理由について「被告人はこれまでも刑務所に入りたいという動機から建造物損壊等を繰り返し、今回も前刑の執行終了後約1年半で本件犯行に及んでいることから、常習性は顕著であり、その短絡的かつ身勝手な動機に酌むべき事情はない」としました。

Sさんの国選弁護人を務めた大久保実哲弁護士は、Sさんの現在地をこう語ります。

「自由が怖いという形なのかな。自分で全部決めなきゃいけない状態の方が彼の中で異常になっていたのかな。そこの認識を変えなきゃいけないよというのをずっと言っていたのですけれど、どうやったら変えられるのかはこの短い3か月の間では見つけられなかったですね」

HBC報道部

毎日の取材で「気になるニュース」や「見過ごせない事案」を、記者が自分の目線で深掘り取材し、「ニュース特集」や「ドキュメンタリー」を作っています。また、今日ドキッ!の人気コーナー「もうひとホリ」「もんすけ調査隊」も制作しています。最近は放送にとどまらず、デジタル記事、ドキュメンタリー映画、書籍など、多くのメディアで展開して、できるだけたくさんの人に見てもらえるよう心掛けています。北海道で最初に誕生した民間放送の報道部です。

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