2026.05.08
暮らす2025年はこれまでにない「大量出没」でしたが、EnVision環境保全事務所の早稲田宏一さんは、「出没にはある程度の根拠や理由があり、突然わけもわからないことが起きているよ
うな状態ではない」と話します。

9月の人身事故についても、クマは子どもを連れている母親でした。母グマは子どもを守るために、ばったり出会った人を攻撃することがあります。
ほかのエリアも、2025年になって突然出没が始まったわけではなく、この20年ほどでじわじわと出没情報が広がってきていた場所でした。
札幌市ではEnVision環境保全事務所と一緒に、出没のたびに現場調査をし、そのデータを積み重ねて分析しています。第1回の記事で説明したように、カギになるのはDNAで、クマを個体ごとに分析しています。

早稲田さんは、「単に『クマが出没した』ではなく、 どんなクマが、なぜ出没したのか が大事。現場調査をしっかり積み重ねると、原因がわかって、対策につなげることができます」と話します。
札幌市では大量出没の中でも、優先して対策すべき個体を見極め、ハンターや警察らと連携して対処してきました。単に捕獲を増やすのではなく、繰り返し出ているクマの情報を蓄積して、そのクマに対して、捕獲とそれ以外の選択肢も含めて、戦略的に対応しています。
その結果、緊急度が高く、捕獲が必要だと判断したエリアではおおむね「問題個体」の捕獲を終えています。
ただ、まだ「気になっている」クマがいるエリアが残っています。
次回の記事でお伝えします。
取材協力:札幌市環境共生担当課・坂田一人さん、清尾崇さん、NPO法人EnVision環境保全事務所・早稲田宏一さん、中村秀次さん
天気表現の監修協力:HBCウェザーセンター・近藤肇気象予報士
連載「クマさん、ここまでよ」
連携するまとめサイト「クマここ」では、「クマに出会ったら?」「出会わないためには?」など、専門家監修の基本の知恵や、道内のクマのニュースなどをお伝えしています。
文:Sitakke編集部IKU
ドキュメンタリー映画『劇場版 クマと民主主義』監督。2018年にHBCに入社し、報道記者として取材した島牧村をきっかけに、人にできるクマ対策はたくさんの選択肢があることを知る。「Sitakke」や「クマここ」の運営、放送やイベントなどを通じて取材・発信に取り組んでいる。
※掲載の内容は取材時(2026年1~4月)の情報に基づきます。
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