2023.11.28
深める取材時間も終盤。夕暮れが綺麗な時間になりました。
涼やかな風も吹きはじめ、しみじみと考えるには良い環境です。
緑の島をもうすぐ一周するという頃に、1人の男性が写真を撮っているのが見えました。
「何を撮っているのですか?」という質問で会話が始まりました。
緑の島の1角にあたるこの風景を撮影していたそうです。ここが一番気に入っている景色なのだそう。ぜひお話ししたいと思い、取材交渉に入りました。
ご自身のお姿の撮影以外は取材OKということで、さっそくお話を聞いていきます!
景色を撮影していたのは、函館市在住の公務員Iさん(50代)。
熱心に写真を撮影しており、観光の方かな?と思っていたので意外でした。
函館に移り住んで、25年だそうです。
この日に限らず、週末や仕事帰りには、よく緑の島まで散歩に来るのだとか。
「人生で迷ったときに大事にしている価値観はなんですか?」
Iさん:そこまで深くは考えてないな…、即断即決、かな。
Iさんが函館に移り住んだ理由は、とてもシンプル。ただ、「函館に住みたい」と思ったから。
風景が良くて好き。そんな思いから函館移住を実行したそうです。
特に、緑の島は湾内に突き出ているため、1周するだけでも色々な景色を見られる。人がいない小道が一番好きで、歩いてその先の町まで散歩をして帰るのが良いのだと教えてくれました。
今回の企画は、海を眺めると心が晴れるなぁという私自身の経験をキッカケに始まったものでした。そこで、函館の景色を愛するIさんにもう一つ聞いてみました。
「何を考えながら風景を眺めているのですか?」
Iさん:もともと旅が好きで、家からここへ来るだけでも旅をしている気分になる。
いつもと違うところにいる感じがする。
(行き詰まったら海を眺めるという私の話に対して、)確かに行き詰まった時は海を見る。
それで切り替わる、いや、むしろ「まあ、いっか」という考えになれる。
そんなIさんにお願いしました。
「人生に迷っている若者にメッセージをお願いします」。
Iさん:(ご自身が)「好き」という理由だけで函館に来ているから、あまり考え込まない方がいいよ!若いので、ターニングポイントはいくつもある。突き詰めて考えてしまうと、一つ(の選択肢)しか見えなくなってしまうから、多面的に見る方がいい。
「函館に行きたい」という気持ちを叶えてから、Iさんは人生が変わったそうです。
Iさんは続けて、こんなお話をしてくれました。
年齢を重ねると、選べることが少なくなってくるけど、若い時ならスタート地点はたくさんある。
スタート地点を選ぶところから、始めることができる。
だから、学生は外に出てみるといい。1回出ると見方が変わる。”違う視点”を得た方が良い。
右往左往していいんじゃないかな。
加えて、もうひとつ質問をしてみました。
「もし過去に戻ったら、いまと同じ選択をすると思いますか?」
Iさん:選んだ道は違ったかもしれない。でも「過去のことを振り返ってもまぁしょうがねーか」とも思うようにしてる。そう思うことで、「あの時、ああすればよかったなぁ」を振り切れるようになるから。
もとがネガティブな性格だと言うIさんは、そんな風に思うようにしないと(精神的に)潰れちゃうと笑いました。
違ったことを見たり、考えたりしていたら、自分が何を選んだかなんて変わるのが当たり前。
”今の自分は、自分がこれまで見てきたことによって出来ている”と、認めて、受け入れてあげればラクになる。私はそんな風にIさんの考え方を解釈しました。
Iさんの考え方は、むしろ物事をポジティブに捉えられる素敵なものだと感じます。
現在50代のIさん。退職をしたら旅に出たいと、声色を明るくしました。
「生まれ故郷までの道のりを奥さんと一緒に旅をする。奥さんに地元のことも教えたい」
最後にそう語ったIさんは、これからも”旅”を通じて、新たな視点を見つけていくのだなと感じました。
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