2026.07.30
暮らす
見学会では航海中の勤務体系についても説明がありました。
観測船には70人弱の乗組員が乗り込み、航海中は24時間体制の3交代制で働いているそうです。
そのため、食事は「朝」「昼」「夕」「夜」の4回用意され、それぞれの勤務サイクルに合わせて取れるようになっているとのことでした。
航海スケジュールは航海ルートによって変化するようですが、一週間から長い航路では2か月程度、船上で過ごすこともあるのだとか。
航海後は一週間から一か月程度休みを挟んで次の航海に備えるそうです。
気象庁では2隻の船を運用していますが、時期によって別々の航路を進むことも、交代させながら観測を続けることもあるようです。
特に梅雨など雨の多い時期は、線状降水帯の予測などで水蒸気量のデータが重要になるため、日本の西の海上(東シナ海)でデータの切れ目がないように交代しながら観測を続けるます。
長い時間を船の中で過ごす乗組員の部屋を見せてもらうと、1人1部屋が基本とのことで、空き時間には陸上で録りためた番組を見たり、デッキを散歩したり、トレーニングをしたりするなど、様々な過ごし方をしているようです。

船の中の階段はとても急で、手すりを持たないと降りるのが怖いほどでした。
こうした場所での仕事や生活を続けることの大変さも、実際に見聞きして初めて知ることができました。

人工衛星など、観測機器の発達した現代においても、実際に海上で得られる高精度のデータにはかないません。
こうした正確なデータは、今どこかで起こるかもしれない線状降水帯の予測精度の向上や、地球温暖化など長期的な海の変化の監視に役立っています。
そして、長年の観測結果の積み重ねによって、海水温の上昇や海洋酸性化、貧酸素化など、海で起きている様々な変化も明らかになっています。
海の変化を知ることは、海の中だけでなく、これからの天気や地球環境を考える上でも、とても大切なのです。

今回、初めて海洋気象観測船を見学し、こうした観測を続けてくれている人たちがいるからこそ、私たち気象予報士も、より良いデータをもとに予報できることを改めて実感しました。
日々の観測の積み重ねは、今後の天気だけではなく、さらにその先の海や地球の変化を知る手がかりにもなります。
海洋気象観測船は、人知れず私たちの暮らしを支える大切な存在だと感じました。
連載「気象予報士コラム・お天気を味方に」

文: HBCウェザーセンター 気象予報士 篠田勇弥
札幌生まれ札幌育ちの気象予報士、防災士、熱中症予防指導員。 気温など気象に関する記録を調べるのが得意。 趣味はドライブ。一日で数百キロ運転することもしばしば。
HBCウェザーセンターのインスタグラムでも、予報士のゆる~い日常も見られますよ。
※掲載の情報は記事執筆時(2026年7月)の情報に基づきます。
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