「だまされた!」から「こんなすばらしい仕事はない」

一方の永木さんは湯灌を扱う会社での勤務を数年間経て、2009年にネオを立ち上げます。

「事務員として仕事を手伝って欲しい」と永木さんからの誘いを受けた中山さんが会社の扉を開けると、そこにいたのはなんと、かつて父親の見送りのときに寄り添ってくれたあの湯灌師でした。

「それで『ちょっと現場を手伝って』と言われてついていったら、いきなり湯灌のお手伝いをすることになったんです。『だまされた!』と思いましたよね(笑)。でも父が亡くなった当時のことを思い出してご遺族様と接してみると、『こんなにすばらしい仕事はない』と実感しました」

体力、丁寧さ、まごころ…すべてがそろうことで伝わる気持ち

湯灌師になるには特別な資格は必要ありません。

しかし、ご遺体を運んだり湯灌用のバスタブを持ち込んだりと力も必要。
またご遺体にふれる際の丁寧さや所作の美しさ、ご遺族への言葉遣いなど、多くの技術と心づかいが必要となります。

「とにかくやさしく、揺らさない、乱暴に見えないようにするということ。例えばご遺体の手首にふれる場合は、正面から掴むと品が悪いですし、ご遺体が動いたように見えてご遺族が驚かれる場合もあります。ですから後ろ側から手を添えて、そっと持ち上げる必要があるんです」

さらには現場では常に冷静な判断をしているんです。

「湯灌に使う浴槽や棺はとても大きいですから、ご自宅に伺う場合は屋内を見た瞬間に搬入ルートを見極める必要があります。『あそこなら通れそうだな』とか『今回は窓から入れるか』などをすばやく判断することも、その後のご遺族さまと故人さまのお別れの時間をゆっくり持っていただくために必要だと思っています」

大変な仕事ばかりですが、ご遺族から涙を流しながらお礼の言葉をかけられたり、ときにはお手紙を受け取ったり…
アンケートで「本当に丁寧にしていただいて大満足です」って書かれていたこともあったといいます。

「心の中で思わずガッツポーズですよね。思いが通じたって感じがして。単なるお仕事以上の大きなものをいただくんです」と話す中山さん。

どんなときにも忘れないのはプロとしての意識と誇りです。

「特に私たちがいつも意識しているのは、故人様を自分の家族や大切な人のようにとらえ、まごころを持って接すること。その心でお仕事をすると、おのずとご遺族様に気持ちが伝わるものです」

永木さんも「『まごころ』は他のどの会社にも絶対に負けていない、日本一だという自信があります」とうなずきます。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

この記事のキーワードはこちら

SNSでシェアする

  • X
  • facebook
  • line

編集部ひと押し

あなたへおすすめ

エリアで記事を探す

FOLLOW US

  • X