2024.03.22

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「ここから出してきれいにしてあげたい」地震の土砂崩れ現場で捜索 男性と同じ活躍と、女性だからできた「気づき」女性警察官が刻んだ覚悟

土砂を連日かき分け、見つけた不明者

岩や木で捜索は難航(石川県珠洲市仁江町 2月)(道警提供)

入った現場は珠洲市仁江町(にえまち)。

土砂の量や範囲、規模も、想像より大きくて、「これは非常に厳しい捜索活動になる」というのが第一印象でした。

派遣された道警の隊員85人のうち、女性は山崎さんただ1人。

道警が女性隊員を道外の被災地に派遣したのは、2019年の「東日本台風」のときが初めてで、今回が2度目です。

「ずっと災害現場に行きたいと思っていた」という山崎さん。

「同じ想いを持っている女性はまだいると思う。ただ自分ができなくて『女性は連れて行かないほうがいいのかな』と思われてしまうと自分の責任かなというのもあった」

だからこそ、能登の現場では、「『女性でも活躍できるんだ』というのを証明出来たらいいなと思って」という強い決意も持っていたといいます。

現場は、石川県珠洲市仁江町の、崩落した山から流れて来た土砂に巻き込まれた住宅。

男女2人が安否不明のまま、見つかっていませんでした。

土砂を取り除こうにも、大きな岩や木の幹が阻み、土が固まってスコップも入らず、捜索は困難を極めました。

それでも隊員どうし、声を掛け合い、士気を高めながら、朝から日没まで、連日捜索を続けました。

木の幹をチェーンソーで取り除き車両を掘り出す(石川県珠洲市仁江町 2月)(道警提供)

重機を使いながら土砂をよけていくと、1台の軽トラックが見つかりました。

地震の発生時、住宅のそばにあった軽トラックです。

「安否不明者が近くにいるのではないか」

軽トラックにかぶさっていた木の幹をチェーンソーで取り除き、さらに掘り進めます。

バケツリレーで土砂を運び出す(石川県珠洲市仁江町 2月)(道警提供)

山崎さんは、「『必ず安否不明者を発見する』という気持ちを持って現場に向かって、掘っているあいだも『絶対、ここにいるかもしれないんだ』と思いながら、もうひたすらに掘っていましたね」とこのときを振り返ります。

現場で活動する山崎隊員(中央)(石川県珠洲市仁江町 2月)(道警提供)

北海道警が捜索を始めて5日目。

3メートルもの土砂の下から、男性が見つかりました。

探していた安否不明者のうちの1人でした。

地震発生から1か月あまりが経っていました。

発見された安否不明者は、その後親族のもとに帰された(石川県珠洲市仁江町 2月6日)(道警提供)

「すぐにここから出してきれいにしてあげたい」

山崎さんは真っ先にそう思ったといいます。

「私たちの活動が少しでも被災者のためになれたのかな」

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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