「すくすく」という言葉が本当にぴったりの、円山動物園の赤ちゃんゾウ「タオ」。
11月19日で誕生から3か月を迎えました。
かわいさももちろん満点!のタオですが、全国のゾウ飼育を前進させる未来へ、今、新しい風を吹き込んでいます。
ちょこちょこと走り回る、赤ちゃんならではの姿に歓声があがります。
体重は260キロと、産まれたときからもう2倍以上(11月10日計測時)。
誕生から3か月を迎えたメスの赤ちゃんゾウ「タオ」です。
タオの誕生はまさしく「奇跡の安産」でした。
通常、本陣痛が始まって10時間近くかかることもめずらしくないゾウの出産。
お母さんゾウ「パール」に本陣痛がきたのは、その夜の9時過ぎのことでした。
出産に備え、動物園に泊まり込んでいた飼育員から、家で待機していた飼育員へ連絡が一斉にまわり、続々とミーティングルームに集合。
国内で初めて、「準間接飼育」での出産に臨んだパール。
飼育員がゾウのエリアに入らずに、画面越しで出産のときを待ちます。
さあここからまだまだ時間がかかると思った矢先、まだ本陣痛から1時間余りで…
「出てる!出てる!!」
ミーティングルームで一斉に全員が立ち上がります。
画面をのぞくと…パールが破水。
一瞬驚きに包まれたものの、「ここから2時間以内ってこと?」と飼育員たちに再び余裕が生まれました。
その次の瞬間…
「あっ産まれた!産まれた!!」
なんと、わずか1分でタオが誕生。
もはや飼育員があわてる暇もないほどの出産でした。
しかも、初産にも関わらず、パールはとても落ち着いていました。
産まれ落ちたわが子を見ると、まず、羊水で滑らないよう、砂をかけます。
そして、呼吸を促すように蹴り、立ち上がらせようとサポート。
タオはわずか10分で立ち上がり、その後1時間で、初めての授乳までたどり着いたのです。
▼「奇跡」の安産…ゾウの赤ちゃん誕生!その瞬間に見えたスゴイ行動【札幌・円山動物園】
これは本当にすばらしい安産。
でも、一方でそれは「偶然ではない」と太鼓判を押すのが、円山動物園でたびたびゾウ飼育の研修を行ってきた、アメリカの専門家、アラン・ルークロフトさんです。
「パールがここで安心して暮らしていたからこその安産だった」と、円山動物園ににゾウたちがやってきてからの5年間の信頼関係について触れました。
また、旭山動物園の元園長で、長年ゾウの飼育を担当していた小菅正夫さんにとっても、北海道でのゾウの出産は「悲願」でした。
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