北海道は、奇跡の場所。
そう話すのは、十勝の大樹町出身の、中神美佳(なかがみ・みか)さん。
「宇宙への玄関」を作っています。
今、北海道では、さまざまな企業や自治体が宇宙産業に乗り出しています。。
HBCでは、特集WEBサイト「HBC宇宙チャンネル」をオープンし、【あらゆる世代が期待感を持って暮らせる地域づくり】を目指し、宇宙にまつわる北海道の情報を発信しています。
3月には、札幌の地下歩行空間で、「宇宙とSDGs」のパネル展を開きました。
トークショーに登場したのは、「スペースコタン」取締役兼CMO・中神美佳(なかがみ・みか)さん。
アジア初の民間に開かれた宇宙港「北海道スペースポート」を、大樹町に作ろうとしています。
中神さんは、大樹町は「世界的にも宇宙に適した恵まれた奇跡の場所」と話します。
中神さんによると、ロケットは北・東・南の方向に打ち上げます。
「北と南は、地球全体を見られる軌道。東は、地球の自転の力を使って打ち上げられ、エネルギーのロスが少ない」といいます。
大樹町は、東と南の方向に、広範囲で海が広がっているため、どちらの方向にも打ち上げができるのです。
さらに、海沿いに広大な土地があること。
「十勝晴れ」という言葉があるほどの天気の良さ。
港や空港が近いので、ロケットの部品などを運びやすいこと。
かつ、本州ほど海路や空路が混みあっていないことも、打ち上げの時間を調整しやすいというメリットになります。
そんな好条件がたくさんそろっているからこそ、大樹町で宇宙産業が盛んになっているのです。
中神さんは大樹町の出身。
大手自動車メーカーで、世界10カ国以上の市場調査や分析を行い、商品企画やコミュニケーション戦略立案を推進してきました。その後は、自治体や民間企業のPRブランディングに携わり、2021年の4月からスペースコタンで活躍しています。
中神さんは、宇宙だけでなく、大樹町の将来にも希望を持っています。
「スペースポートを作るということは、マチをつくること」だというのです。
スペースポートを中心に、宇宙関係の企業や工場、研究施設が集まってくる。
雇用が生まれる。
地域の工務店や電気店、塗装店にも仕事がまわる。
人が増えると、住居や飲食店も必要になり、サービス業も潤う。
観光や教育の分野にも関わってくる…。
いろいろな産業に影響して、地域が活性化することが期待されます。
宇宙産業の効果もあってか、大樹町では、昨年末、23年ぶりの人口増加を記録しています。
中神さんは、宇宙をきっかけにした活性化が「大樹町、さらには北海道全体に広がっていけばいい」と話していました。
「『世界の北海道』になるというか、そういう未来が私は一番ワクワクしています。北海道は農業や観光などワールドクラスなものがたくさんあると思うんですけど、道民、そして大樹町民としては、そこにもう一つ、世界を惹きつけるものとして宇宙がキーワードとして出てくるといい」
国が主導するのではなく、民間で広がっている宇宙産業。
「北海道スペースポート」は、民間に開かれた宇宙港であることが、大きなポイントです。
国内はもちろん、海外も含めて、大学や企業など、宇宙を目指すあらゆる事業者が利用することができます。
また、「複合型」であることも、いろいろなニーズに対応できるポイント。
ロケットには、垂直に打ちあがるもののほかに、飛行機のように滑走路を使って飛んでいくタイプのものもあります。
気球を使うタイプもありますが、「北海道スペースポート」は国内で唯一、そうしたあらゆるタイプに対応している発射場だといいます。
中神さんは、「社会的な成長産業なので、北海道の新しい産業として皆さんと一緒に作っていけたら」と、広い協力を呼びかけていました。
中神さんは、宇宙は「SDGsとの連携が強い」「SDGsのすべての目標に関わるのではというくらい」と話します。
宇宙を通じて、地域の課題を解決する。そんな研究が各地で進んでいて、農業や漁業、防災にまでつながるというんです。
私たちの暮らしに役立つ「宇宙とSDGs」の可能性は、次の記事でお伝えしています。
⇒【北海道でいま注目の「宇宙産業」、わたしたちの暮らしにどう関わる?】
■日本一周中に「余命2年」宣告…すい臓がんと闘いながら結婚、旅再開を目指す2人
■ 78歳の「ひとり雪まつり」!孫のために毎年欠かさず、雪像を手づくりで【札幌】