2026.10.18
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「ワイナリー」と聞いたとき、石田さんの脳裏に浮かんだのはフランスでの暮らしでした。
「記憶ではやっぱりすごく美しかったんです。ナチュラルワインを造るっていう仕事とか、ブドウを作る畑仕事が」
すると、長尾さんは「北海道にはその暮らしがあるよ」と石田さんに伝えたのだそう。
「最後にたどり着く仕事はワイン造りなんじゃないの?みたいなことを言われて。すっかり乗せられました(笑)。『ゆっくりした生活ができる』って言われたのは実際違いましたけど。東京の2倍くらい忙しい!」
長尾さんの言葉に、迷いが断ち切れた石田さんは、三度、北海道に移住。
今度は北斗市を拠点にワインの造り手としてのキャリアを歩むことになりました。

今、石田さんが造っているのは「ナチュラルワイン」。
ブドウの栽培から醸造にかけて、化学肥料や農薬に頼らず、有機栽培されたブドウを使用し、醸造過程でも添加物を控えて造られたワインのことです。
現在、育てている品種は全部で13種類も。
「今は、この土地に合う品種を選んでいる段階です。最低でも5年は栽培してみないと分かりませんから」
品種を見極めるだけでも5年。気の遠くなるような話です。
さらに育てるときには最小限の有機認定農薬しか使いません。
その中ではこんな苦労も。
「ブドウに有害な虫が多く発生してしまうときは、畑を何時間も歩き回って、1匹ずつ手で取るしかないんです。虫が出ると、お休み返上でその作業に追われます」
鳥がブドウを食べに来ることもめずらしくありません。
機械には頼れない作業もたくさんあります。
「毎年、春になるとピヨッシュといって、1本1本の根元の土に鍬を入れます。雑草を刈り取る目的と、根元に酸素を回してあげるという役割もあるんです。機械ではできない作業です」
石田さんは、こともなげに言いますが、その数は8000本!
途方もない作業です。
まだ日が短く、肌寒い季節でも、畑での作業はほかにも盛りだくさん。
作業は太陽が昇るよりも早く始まり、ピーク時には日没まで続くことも。
日々、3名のスタッフとともに畑を管理し、収穫時期になると札幌から長尾シェフをはじめレストランのスタッフたちも来て仕込みをします。
さらに醸造過程でも「ナチュラル」にこだわります。
品質保持のための酸化防止剤「亜硫酸塩」を使わないのも石田さんの信条です。
そうまでして、なぜ「ナチュラルワイン」なのか。
そこにも石田さんの原点があります。
■ 21歳で「ステージIVの大腸がん」、そこから結婚・出産・子育て… 亡くなる10日前まで日記に綴った想いとは
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