2024.03.27
深める→前回:【第3話】俺はもう死ぬんだ ホームレス/ハウスレス~札幌発・生活困窮者の今と支援(第3話)ホームレスを支援する元ホームレス・その1
北海道北部の小さな町から国家公務員になり、霞が関でも働いたエリートが、一転、ホームレスとして辛酸をなめることになりました。
「俺はもう死ぬんだろうな」
島田省治さん(59歳)はそう思いながら、一日一日のねぐらを探す日が続きました。ギャンブル依存症になって多額の借金を抱え、にっちもさっちもいかない状況でした。
それでもパチンコ店に入って、無料で配られているせんべいや飴を口にしながら、時間を漂うように過ごしていました。
その路上生活で、同じ境遇の男性からある情報を耳にします。
(男性)「あした、『炊き出し』あるの知ってる?」
(島田さん)「『炊き出し』って?」
(男性)「食べ物や服を配ってくれるんだよ。○○の○○(場所)で」
(島田さん)「えっ!ホント?」
島田さんは翌日、待ちきれない思いで会場へ向かい、炊き出しで出されたカレーライスを夢中で頬張りました。
「美味しくて、美味しくて、お代わりしたのを覚えています」
出会いは、その帰り道で、ある男性から声をかけられたことでした。
(男性)「なんか、仕事してんのか?」
(島田さん)「いいえ、何も」
(男性)「うち来て、働いてみるか?」
(島田さん)「どんな仕事ですか?」
(男性)「まぁ、事務所で話しするか…」
仕事は、生活困窮者の自立を支援するNPO法人で、施設の職員として働くことでした。
「俺自身が困窮者なんだけど、何かできるのかな…」
そう思った島田さんでしたが、その日から住む所と賄いの食事が得られると聞いて、二つ返事で応じました。
【第1話】さむないよ。家はない ホームレス/ハウスレス~札幌発・生活困窮者の今と支援(第1話)ホームレスもハウスレスも経て…(1)
【第2話】怖くて怖くて。 ホームレス/ハウスレス~札幌発・生活困窮者の今と支援(第2話)ホームレスもハウスレスも経て…(2)
【第3話】俺はもう死ぬんだ ホームレス/ハウスレス~札幌発・生活困窮者の今と支援(第3話)ホームレスを支援する元ホームレス・その1)