2024.03.27

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最期は誰が看取る? ホームレス/ハウスレス~札幌発・生活困窮者の今と支援(第4話)ホームレスを支援する元ホームレス・その2

肩を並べて

(左)H.Yさん (右)島田さん

島田さんは、自分がかつて仕事で関わった困窮者のその後が気になり、時々、訪ねています。

「何してた?ゆで卵つくったから、持って来たよ」

この日訪ねたのは、第1話と第2話で紹介したH.Yさんの部屋でした。

(H.Yさん)「テレビ、観てましてん」
(島田さん)「何の番組?」
(H.Yさん)「いや、何ってことはないんやけど」
(島田さん)「そう言えば、通帳、作ったかい?」
(H.Yさん)「この前、銀行、行ったけど、書類が足りんて言われて、まだですねん」
(島田さん)「じゃあ、今度、一緒に行こうか」
(H.Yさん)「助かるわ」

今月、島田さんは、H.Yさんに付き添って銀行へ行き、通帳を作る手順を確認して、H.Yさんは新たな通帳を手にすることができました。

(H.Yさん)「あ~、これで保護費の受け取りが楽になるわ…」
(島田さん)「落とさないように、ちゃんと仕舞って置くんだよ」
 

別れ際、島田さんは「ちょっと別に行く所があるからさ、H.Yさん、一緒に行く?」と言って、買ったばかりと言う電球を私に見せてくれました。

「H.Yさんの近くに住んでる女性の困窮者の人、以前、仕事で関わった人なんだけど、『電球切れたから、買って来て』って言われてたので、仕事場に持って行ってあげようと思って…」

2人は肩を並べて、その女性が働く事務所へ向かって行きました。

足元は、三寒四温の日が続いて、雪がザクザク、歩きにくい道でした。

***

路上生活者はこの十数年で減り、街角でも見かけることが少なくなりました。そ の一方で、車の中やインターネットカフェを転々としながら暮らす人が増え、生活困窮者の実態が見えにくくなっています。ハウスレスという言葉をご存知でしょうか?ホームレスとハウスレスの違いは何でしょうか?

生活困窮者がそうした暮らしを続ける理由は多様です。経済的な問題だけではなく、家族や職場とのトラブルから居場所をなくして孤立する人、障害や精神疾患があって社会への適応が難しい人、依存症になって治療を要しながらもその伝手を得ることができない人、一旦は生活保護の受給を得てもまた路上に戻る人など様々です。

冬には-10℃を下回る厳しい環境の札幌で、ホームレスの人、ハウスレスの人、彼らを支援する人…。この連載企画では、それぞれの暮らしと活動に向き合って、私たちのすぐそばで起きている貧困と格差の今を考えます。

◇文・写真 HBC油谷弘洋

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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