2024.02.05

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夢物語の世界に憧れた、孤独な王様の人生とは?現代人が共感できる「ファンタジー」としてのノイシュヴァンシュタイン城の魅力【後編】

こんにちは、Sitakke編集部ナベ子です。

国内外から来場約200万人が訪れる、札幌の冬の風物詩「さっぽろ雪まつり」。
74回目となる今年は、2月4日(日)から11日(日)までの8日間開催されています!

さっぽろ雪まつりにも登場!「ノイシュヴァンシュタイン城」の魅力とは

大通会場のなかでも注目度の高い展示といえば「大雪像」。
大通7丁目では毎年HBCが、雪まつりにおける国際交流を象徴する大雪像を企画しています。
今年のテーマは、「ノイシュヴァンンシュタイン城」。ドイツ南部に位置するバイエルン州にあるお城です。

ノイシュヴァンシュタイン城外観© DZT/ Hans Peter Merten

おとぎ話のアニメーションに登場するお城のモデルとなったともいわれるこのお城。
名前を知らなくとも、テレビや旅行雑誌などを通し、このお城を観たことがあるという人も多いのではないでしょうか。

一方で、この美しいお城の成り立ちには、理想の世界を夢見た王様の、悲しくもドラマチックなストーリーがあるということを知っていますか?

自身の夢の世界のために建てた美しいお城と、最終的に幽閉され、湖に身を投げることになった王様の生涯……知れば知るほど、きっとあなたもこのお城にハマってしまうかも!?

「ノイシュヴァンシュタイン城」の魅力を紐解く 【後編】夢見る王様・ルートヴィヒ2世の生涯

というわけで今回は、「ノイシュヴァンシュタイン城」の魅力について注目していきます

解説いただくのは、東京大学大学院で歴史学(ドイツ観光史)を研究し、現在はドイツ観光局広報を担当する大畑悟さん。

前編では、「ノイシュヴァンシュタイン城」の成り立ちを紐解きながら、お城の魅力についてご紹介いただきました。

前編⇒さっぽろ雪まつりにも登場!悲しき王様が描いた夢の世界「ノイシュヴァンシュタイン城」の魅力とは

後編となるこの記事では、「ノイシュヴァンシュタイン城」の建設者・バイエルン国王ルートヴィヒ2世の生涯を辿りながら、お城の魅力について注目していきます

ノイシュヴァンシュタイン城を建てた王様~英雄に憧れた少年時代

■英雄物語が大好きだった少年時代

世界的に有名な白鳥の城ノイシュヴァンシュタインを語る時、切っても切り離せないのが、建設者バイエルン国王ルートヴィヒ2世(1845年‐1886年、在位1864年‐1886年)の悲劇の生涯です。なぜ彼は身の破滅を招いてまで、ワーグナーのオペラや太陽王ルイ14世の世界を具現化した城を建造したかったのでしょうか。

少年時代まで遡って彼が憧れた世界を探っていきましょう。

ノイシュヴァンシュタイン城の建設者バイエルン国王ルートヴィヒ2世(1845年‐1886年)

国王即位前の10代のルートヴィヒ少年は読書好きでした。好みの作品は、彼に贈られた誕生プレゼントの品々から後世に知られています。シラー、ゲーテといったドイツの文豪の作品や、シェイクスピアの戯曲、ドイツの英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』等を好んで読んでいたようです。

中でも彼の心を強く捉えたのは、シラーの戯曲『ヴィルヘルム・テル』でした。テルは中世スイスの伝説の英雄で、貴族の支配に抵抗した弓の名手として知られています。15歳の時、彼は少ない小遣いからヴィルヘルム・テルのフィギュアを買い、即位後の20歳の時にはテルゆかりの地を訪問しました。今でいうところのファン・ツーリズム=聖地巡礼を敢行したのです。それだけ英雄テルの物語が好きだったのです。

読書に親しむ一方で、『ヴィルヘルム・テル』をはじめとするオペラも好んで観劇しました。そして1861年2月2日、15歳の少年はワーグナーのオペラ『ローエングリン』を観劇し、いたく感動して劇の進行の内容をこと細かに日記に記したほどでした。白鳥の騎士ローエングリンは、ブラバント公国の公女を救う物語で、ヴィルヘルム・テルはスイスの貴族支配に抵抗した物語。ルートヴィヒ少年の心を強く捉えたのは、困難な政治状況に立ち向かう勇敢な英雄の物語でした。

時代と地域は違えど、世界のどこにでもいそうな夢見る少年だったのです。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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