「おれは、動物園に入ってから3頭ゾウを殺しているからね」
そう話す小菅さん。
旭山動物園では、かつて道内で唯一、オスとメス両方のゾウがいました。
もちろん、「動物園にいる以上、命をつないでほしい」と繁殖についてたくさんのこと調べましたが…
それでも、せまいコンクリートの獣舎で暮らすゾウたちは、交尾することすらなかったといいます。
そして、10年ほどでオスゾウが若くして死んでしまいます。
その次に、旭山動物園に入ってきたのは、アジアゾウとは全く種類の違うマルミミゾウのメスでした。
当然、繁殖はできません。
小菅さんは「おれ一人でも反対すればよかったんだけど、しなかった。それが自分の中で非常に大きなトラウマになっている」と話します。
「それまでは、動物園の人間が繁殖を放棄してどうするんだっていっていたんだよ。それなのに、最終的に自分のところで、比較展示(動物の生態の違いを比較してみられるよう並べる展示方法)でいいやって」
命をつなげない飼育を、自分の手で作ってしまった後悔。
「本当にね、あとになってからなんてことしてしまったんだろうって…」
道内では旭山動物園を含め、これまでに8頭のゾウたちが命をつなげずに死んでいきました。
だからこそ、パールの出産は、小菅さんにとっても驚きと喜びでいっぱいだったといいます。
「びっくりするくらいの安産で、順調。もう、ゾウの繁殖難しいなんて言えんわって。ゾウに関するイメージを本当に覆してくれたのがパールだったね」と笑顔がこぼれます。
ちなみに…「びっくりするくらいの安産」のため、小菅さんは出産の瞬間には間に合わなかったそうですよ!
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