2023.11.04
暮らす十勝の幕別町にある、未季庭園設計事務所のガーデンデザイナー、佐藤未季さん。
キノ花園計画の柏倉一統さんとパートナーを組み、Fビレッジガーデンのガーデンデザインを担当しています。
未季さんは、柏倉さんとパートナーを組んで挑んだ、100年以上の歴史を誇るイギリスの世界最高峰のガーデンショー「チェルシー・フラワーショー2019」でゴールドメダリストとなったガーデンデザイナーです。
「健康と幸せ」をデザインの根幹に置きながら、見た人が癒されるような自然の植物群落や、草原を模した植栽設計図はとても緻密で、社会人1年目の朱理さんが向き合うのはとても難しいものでした。
それでも朱理さんは、初めて見る図面を見ながら、懸命に取り組みました。その姿に未季さんは心を打たれたといいます。
「1年目って聞いている朱理ちゃんが泣きもせず、黙々と図面を見ながら花苗を置いてって、分からないと必ず電話をくれたり、質問をしてくれて、一生懸命メッセージをくれたりするわけですよ。
こういうふうにしたらいいですかって聞いてくれて、『ごめんね、読みづらい図面なのに』と言っても、大変なのに泣き言一つ言わず『勉強になるのでいいです』とか、健気に、一生懸命図面に忠実に置いてくれたんですよね。なので、私達としてはもう何だろう、ありがたくって設計者冥利に尽きるというか…」
Fビレッジの「共同創造空間」というコンセプトに合わせて、ガーデンも「北海道の新たな交流が生まれる場所」としてプランニングされました。
これまで様々なガーデンに関わってきた未季さんもFビレッジガーデンにはほかにはない特徴があるといいます。
「ここはファイターズっていうすごく魅力的なものがあるから、今までお花とかに全く関わってなかった人までガーデンサポーターとして来てくれている、全身ユニフォームの人もいましたからね。もしかしたらお花好きだから来ているって言って来てくれた方も、いるうちに野球のことももっとより深く好きになってくれるかも。ここの場所のキーワードはクロスオーバーだなって思っているので、嬉しい限りです」。
花好きな人や、地元の人だけでなく全道各地から、そしてファイターズファンや子どもたちも多く、ガーデンサポーターに参加しているのが、このガーデンの特徴です。今年は5月から10月まで、のべ450人のガーデンサポーターが自分の都合に合わせながら月2回集まって、ガーデンの手入れをしてきました。
そして、その交流はガーデンサポーターの中だけでなく、300万人以上が訪れた来場者とも。朱理さんはガーデンの手入れをしているとよく声をかけられました。
「これ綺麗だね、管理してくれてありがとうって言ってくれる感謝の言葉とか、生でそのときに聞けることができて、達成感とか嬉しさをすごく感じることができました」。
朱理さんは「このガーデンを見るために本州から来ました」と声をかけられると、ガーデンの手入れをほかのスタッフにお願いして、ガーデンを案内したこともあったそうです。
「年代が固定されるわけじゃなくて色々な人が来て、色々な人が会話して、ガーデンを管理しながら話しかけてもらえる、そういう会話が多い場所、ガーデンになってくれたらいいなって思います。ちょっとした、少しでも会話が、いっぱい話ができるガーデンだったら…なってくれたらいいなって」。