災害時に誰もが安心して過ごすための仕組みづくり。
避難所の運営や備蓄品などに「女性の視点」を生かす取り組みが進められています。
2月、釧路で開かれた防災セミナー。
タイトルは「女性のための防災授業」です。
防災アドバイザリー北海道の辻川実代表が、笛を鳴らして見せます。
「ピー。けっこう聞こえるでしょ。笛、あるいは防犯ブザーをすぐ手の届くところに持っていていただく。避難所でトイレに行く時もできれば複数の人数で行動してほしい」
「実際にあった話ですが、襲われてしまったりするケースがある」
東日本大震災では、避難所での性被害のほか、生理用品や育児用品の不足、着替えや授乳をする際のプライバシー確保など、女性を取り巻くさまざまな問題が報告されています。
こうした状況を受け、国は3年前、避難所の運営や備蓄品に女性の視点を生かすためのガイドラインを作成し、災害時の活用を呼びかけています。
災害に備え、3日分の非常食や防寒具などが備蓄されている釧路市。
生理用品やおむつ、粉ミルクのほか、試験的に赤ちゃん用の段ボールベッドなども用意されていますが、自治体の備蓄には限界があると言います。
釧路市総務部防災危機管理課の佐々木和史防災危機管理監は、「備蓄全部を各自治体で備えるのは難しい状況なので、ガイドラインを参考にしながら啓発活動で各家庭で備えてほしい」と話します。
備蓄のほかに、釧路市は、マンホールを活用するテント付きの簡易トイレや、段ボールベッドのパーティションを充実させるなど、 避難所でのプライバシー保護に力を注いでいます。
「この重さを持って子どもを抱えては厳しいと思う」
主婦や教員ら10人ほどの女性で活動する釧路の市民団体「チームくしろ防災女子」です。
市内の女性268人へのアンケートをもとに考案した持ち出し品セットには、筆記用具としても使えるようにアイブローペンシルを入れるなど、女性ならではの発想が詰まっています。
また、避難所で子どもたちが退屈しないように独自に作った「すごろく」は…
折り畳めばゴミ箱に。
ビニール袋を被せると食器の代わりにもなる優れモノです。
この日の会議では、チームくしろ防災女子・金子ゆかり代表が、「女性の目線を入れて活用の仕方をあらかじめ計画しておいてもらうことで、トラブルが少ない避難所生活を送ってもらえると思う」と話していました。
自治体が防災計画の作成のために設置する地方防災会議。
国は女性委員の比率の目標を30パーセントとしていますが、道内で最も女性委員の比率が高い釧路市でもおよそ18パーセントにとどまっています。
チームくしろ防災女子・金子ゆかり代表は、「やっぱり女性が多く参加できて意見を言わせていただける場があるといい。ぜひ女性の力を活用いただければと考えています」と話していました。
災害時に誰もが安心して過ごせるようにに、女性の意見が反映されやすい仕組みづくりが求められています。
防災計画を作成する「地方防災会議」に女性委員がいない道内の自治体は4割を超えています。
委員を推薦する公共機関に男性幹部が多いことが、理由のひとつと言われています。
女性だけでなく、外国人など多様な人と向き合うことが、多くの人の快適性につながります。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2023年3月13日)の情報に基づきます。
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