「職業妙」。それは、仕事人ゆえに陥ってしまう不思議な行動パターン。
“お客さん”としてショッピングに来たのに、ついつい商品棚の服を畳んでしまう販売スタッフ、メニュー表のデザインが気になって注文に時間がかかるデザイナー、マンションを見る度に坪単価と維持費を計算してしまう不動産営業・・・・・・。
多様な仕事・働き方を選べるいま、その道のプロフェッショナルにしかわからない「癖」が存在する・・・・・・!?
仕事で培った癖や着眼点は、もはや「職業病」ならぬ、「職業“妙(みょう)”」。
【妙(みょう)=不可思議なほどにすぐれている。巧みである】
不定期連載「北海道の職業“妙”名鑑」では、北海道で暮らすみなさんが、仕事で培った「職業妙」を紹介していきます。
今回、訪問したのは株式会社ワコールさん。
下着メーカーならではの「職業妙」を調査しに、ワコール ミネット マルヤマクラス店を訪れました!
入社18年目の吉松朋美さんと入社13年目の泉澤夕貴さんに、インタビューしました。
今日はよろしくお願いいたします!
吉松・泉澤:よろしくお願いします!
お二人とも、とっても明るい笑顔で素敵ですね〜。普段はどんなお仕事をしているんですか?
泉澤:ご来店いただいたお客さまのご希望に添ってランジェリーをご提案するのですが、サイズがわからない方には、メジャーを使って採寸します。さらにブラジャーなどは、必ず試着をおすすめしているんです。ブラジャーは同じサイズでも形や造りによって、若干サイズ感や着用感も変わりますので、ぜひ試着して確認していただければと。
吉松:フィッティングルームで、お悩みとかご要望とかいろいろ聞きながら、ぴったりの商品をご提案するのが私たちの仕事です。
お二人とも10年以上のキャリアがあって、下着選びのプロフェッショナルですが、プライベートでもついつい、他人のバストに目が行くとか、サイズが気になるとか、これって「職業妙」だなぁなんて感じること、ありますか?
泉澤:あります、あります! いま、おっしゃったこと、全部あります(笑)。
吉松:基本的に、街行く人を見るとボディラインやシルエット、ショーツのラインに目が行くとか・・・・・・。
泉澤:デニムとかパンツスタイルのお尻にショーツのラインが 出てたりすると・・・・・・。
お二人とも、ちょっと言いにくそうですが、ここははっきりと言っちゃってください!
吉松:エスカレーターに乗っているとき、つい前の人のお尻を見てしまい、ショーツのラインがバッチリ見えていると、「ガードル履いたら、もっとキレイに見えるのになぁ」とか思っちゃいます。
泉澤:特にすごくスタイルのいい方だと「もう少しガードルでお尻の位置を上げるとさらにバランスが美しいのに」とか・・・・・・。
泉澤:あとは、テレビでタレントさんとか俳優さんとか見ていて、「あら?サイズが合ってないかな?」って思うこともあります。
吉松:だいたい目視でサイズがわかっちゃうこともあるんですよね。(笑)
泉澤:「サイズの合った下着をつけたほうが、胸の位置が高くなってもっと姿勢もよく見えるのに!」とか。
吉松:あるある(笑)。
泉澤:まず入社したときに、先輩たちに言われるんですよ。「ブラジャー、合ってる??」って。(笑)
吉松:そう、そう! 先輩たち、すぐに体型の変化に気づいてくれるんですよ。「ちょっと痩せたんじゃない?」とか。
さすがですね。入社何年目くらいでわかるようになるんですか?
泉澤:私の場合は数年かかりましたね。
結構かかりますね!
吉松:いまではもう「今日はノンワイヤーのブラ?」とか「今日はあのブラつけてる?」とか、そういう会話も販売員同士でよくしています。
す、すごい! 全部お見通しってわけですね!
もはや透視能力かっていうくらいの職業妙をお持ちのお二人ですが、プライベートで困ったことになったりはしませんか?
泉澤:特に困るというわけではないんですけど、友人や家族で温泉とかに行くと、必ず、「サイズ合ってるか見て!」って言われますね(笑)。
吉松:「肩紐の調節して」とか「正しいつけ方教えて」とかね(笑)。
脱衣所がフィッティングルームですね。
泉澤:はい。でもみんなに喜んでもらえます。
そもそもどうして下着の販売をしたいと思ったんですか?
吉松:私はワコールが乳がんで手術をされた女性のための「リマンマ」というブランドを出していて、そういった女性に寄り添う活動に共感して入社しました。
泉澤:私は転職組で、以前はいろいろな仕事を経験しました。その中でたまたま短期間ワコールのショップで働いたことがあって、その時の経験が忘れられなくて。すごくかわいい下着に囲まれる職場で、女性たちのお悩みを聞いて解決のお手伝いをする。それがすごく喜ばれるというのが楽しく感じたんです。
このお仕事のやりがいとか、ワコールさんの魅力って何ですか?
吉松:下着って、外側からは見えないんですけど、シルエットの大事な部分を決めるものなんですね。きちんと合った下着を身に着けることで、女性を素敵に見せるお手伝いができるっていうのが大きなやりがいですね。
泉澤:多様化の時代と少し逆行してしまうようではありますけど、やっぱり女性にしかできない職業だということにもやりがいを感じます。お客さまにとって、私たちが下着のプロだからこそ、話せるお悩みがあるので、そこには責任と自信を持ってご提案しています。
吉松:フィッティングルームにある程度の時間、一緒に入っているので、そこでしか話せないお悩みを聞くこともあります。外見だけじゃなく、心も満足していただけるような、そんな商品を提案したいなって思いますね。
泉澤:「やっと自分に合うサイズが見つかった」って感謝されたこともあります。そういうのは、本当に忘れられない思い出になっています。
お二人とも、この仕事が天職なんですね。
吉松:天職かどうかはわかりませんが、この仕事っていくらやっても終わりがないんです。お客さま一人ひとりによって、サイズも好みもお悩みも変わりますから、日々勉強です。
泉澤:答えが毎回違うから、何年やっても飽きないんですよ。
吉松:あとは、女性の職場なのでいろいろな先輩たちが活躍していて、先輩たちの生き方を見ていると、自分の目標が見つかったり、参考になったり。多様な女性が働いている職場というのもワコールの魅力です。
泉澤:男性社員は1割くらいなんですけど、その1割の男性社員がみんなすごくいい人たちで、上司にも恵まれていて働きやすい会社です。
男性が1割!そこに飛び込んでくる男性って、どういう人なんですかね?
吉松:あそこに、男性上司の山田がおりますので、聞いてみますか?
ぜひお聞きしたいですね。山田さん、どうしてワコールに入社したんですか?
山田:理由は3つありまして、1つ目はワコールがメーカーであるということ。
目に見える商品の方が、愛着も沸いて仕事を頑張れるなと。商品を使ってもらうことで、うれしかったり、幸せに感じてもらえる仕事に魅力を感じました。
2つ目は海外進出をしていること。将来は海外で仕事をして活躍したい!と。3つ目は採用面接時の担当者がイキイキして元気だったので、自分もそんな職場で働きたいと思いました。今でもワコールで働く人たちはみんな元気でイキイキしているんです。そういうのが素敵だなって思っています。
泉澤:女性を輝かせる仕事ですから、やっぱり働く私たちもイキイキしていないと。なんだかんだ、この仕事って常に前向きになれる気がするんです。
吉松:下着が変われば、胸を張って歩けると言うこともありますよね。女性が自信を持って日々を過ごせるお手伝いができるって、やっぱりうれしいですよね。
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イラスト:まるいみさき
Edit:ナベ子(Sitakke編集部)
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