いま北海道で、さまざまな企業や大学が取り組んでいるのが「宇宙産業」。その発展は、地域の課題解決にもつながっていきます。
HBCでは、【あらゆる世代が期待感を持って暮らせる地域づくり】のため、特集WEBサイト「HBC宇宙チャンネル」をオープン!
北海道から宇宙を夢見る企業や人の想いをご紹介します。
その中から選りすぐりの情報を、Sitakke読者のみなさまにもお届けします。
最初にご紹介するのは、こちらの道産牛のハンバーグ。
実は、宇宙食なんです。
開発したのは、清水町にある「十勝スロウフード」。
代表の藤田惠さんに、HBC糸賀舜(いとが・しゅん)アナウンサーがお話を聞きました。
「十勝スロウフード」は、「牛とろフレーク」を主力商品とした、食肉加工品を製造販売している会社です。
藤田さんは、「牛を専用の牧場で育てて加工品を作っていて、原料に非常にこだわっています」と話します。
そんな十勝スロウフードさんが開発した宇宙食が「北海道産牛肉とミニトマトのハンバーグ」です。
パッケージについた、この四角いマーク。
JAXAから「宇宙日本食」として認証を受けているものと同じ製品であることを示しています。
藤田さんは、同じ十勝エリアにある大樹町で、ロケットの発射場の整備されることがきっかけだったと話します。
「ロケット発射のときには全国、全世界からお客さんが見に来るということで、『お土産を誰か開発してくれないか』とお話をいただいて」
新たに常温で扱えるお土産品を作ろうとしていたとき、転機が訪れます。
JAXAが「プレ宇宙日本食」を募集しているという情報を耳にしたのです。
考えてみれば、宇宙食も常温で扱う、いわばレトルト。これをきっかけに「お土産品にもなる宇宙食の開発」を目指すことになりました。
「帯広地域雇用創出促進協議会」の紹介で、レトルト食品を作る技術を持つ、更別村の「AWアグリフーズテクノ」の協力を得て、開発がスタートしました。
はじめての宇宙食の開発。
決まりごともあったといいます。
「粘度がドロドロとした感じになってないと、宇宙空間に水分が飛び散るのでダメだとか、ニオイのきついものがダメだとか。でも特に大変だったのは、1年半の保存試験というのをリアルにやらなければならないんですよね。実際にその温度でその期間を。この期間が長いこと長いこと…(笑)」
それでも、「きちっとをやることを一つひとつやっていけば、そんなには難しくない」と振り返ります。
2021年4月からISSに滞在する星出宇宙飛行士が、開発したハンバーグを口にしました。
藤田さんは、「第一声が『普通の、地上で食べるハンバーグと同じハンバーグです。家庭で食べるのと同じ感じですよ』って言ってくれたのが僕は結構嬉しくて」と話します。
「宇宙に行ったから特別な何かっていうよりは、宇宙だからこそ普段食べてきてたものに近いものを感じてもらいたいなと思っていたので、それはすごく嬉しかったですね」
自社の牛肉はもちろん、ミニトマトも道内で生産されたものを使用。トマトはソースだけでなく、ハンバーグの中にも練り込まれています。
藤田さんは「タマネギも知り合いの農家さんのしか使ってないですし、パン粉の小麦粉も北海道産です。割合で言うと計算上は97~98%ぐらいはもう北海道産なんですけど、もしちょっと間違ったら困るので95%ぐらいで言っています」と笑顔を見せます。
最後に、今後の展望を聞きました。
「宇宙食ももっとたくさん種類を作ってくださいとJAXAさんの方からも言われているので、北海道でどなたかがやられる場合には何らかのお手伝いができたらなっていうのはあります。そして『北海道産の宇宙食』っていうのがどんどんどんどん世界に広まっていけばいいなと思っています」
宇宙にも通用する、北海道の食。
「HBC宇宙チャンネル」では、今後も宇宙に飛び出す北海道の魅力を取材していきます。