2022.11.18

暮らす

新クマ対策“くまドン”とは?メロン畑に現れたそのとき…効果を実証

秋になっても相次ぐ、クマ出没。

農作物の被害に悩む農家の救世主となるのか?新たなクマ対策を調査しました。

連載「クマさん、ここまでよ

十勝の中札内村。役場前に、大学教授や機械メーカーのスタッフたちが集まって来ました。

現れたのは岡山理科大学の辻維周(つじ まさちか)教授です。
クルマにひかれるなど道路による影響で野生動物が死ぬ、「ロードキル」研究の国内第一人者です。

しかし今回のミッションはクマ対策。

中札内村では 毎年ビートやデントコーンなど、クマによる農作物の被害が相次いでいます。

向かったのは、山の近くにある観光名所「桜六花(さくらろっか)公園」です。
そこにあったのは?

公園に設置された不思議なカタチの機械。
ソーラーパネルやカメラなど、様々な装備がつけられています。

これが、クマ対策の新アイテム。
その名も”くまドン”です。

地元岡山で農作物を食い荒らすイノシシへの対策として、効果を発揮したのが”いのドン”。

“いのドン”カメラより

辻教授は、音によって野生動物との距離を保つ研究をしてきました。

決め手は、スピーカーから出る音。
イノシシが嫌がる低い周波数で、イノシシを追い払います。

“いのドン”カメラより。左側で目が光っているのが逃げるイノシシ

これを、北海道でのクマ対策にも生かせないかと、周波数を改良した装置が”くまドン”なのです。

依頼があった自治体や生産者の土地に設置し、実証実験中です。

その効果は?

9月16日に撮影された映像です。

画像提供:マツクラ クラフトワークス

クマは、”くまドン”が発する音に驚き、あわてて逃げて行きました。

画像提供:マツクラ クラフトワークス

”くまドン”はクマが近づくと、センサーが反応し、クマが嫌う周波数を発します。

今年春に中札内村に設置し、効果を発揮して来ました。

中札内村・住民課の田中志拓主査は、「去年まで毎年のようにクマが出没していた。この公園で、今年は目撃情報もゼロ。すでに十分効果があると考えている」と話します。

富良野のメロン農家・阪口輝郁さん。「クマがこのネットを破った。たぶん1発でしょうね。去年は支柱を折られました」と話します。

メロンを作り続けて47年。
阪口農園では毎年、メロンの収穫時期になると、その甘い香りに誘われて、クマが畑近くに出没するため、”くまドン”の設置を、辻教授に依頼しました。

ことし8月の夜10時近く。1頭のクマが、畑近くに現れました。

“くまドン”カメラより

何かを探し始めるクマ。そのとき…!

“くまドン”カメラより

“くまドン”の音が鳴り、クマが逃げていきました。

阪口さんは、「畑に入ってこないようになれば、僕らも安心」と話します。

生産者も期待を寄せる”くまドン”。
開発のキーマンの辻教授が目指すのは、人とクマとの適正な距離です。

辻教授は、「“くまドン”で、ここから先は人間世界なんだと、野生生物と人間の境界線を明確にしていきたいと思っている」と話していました。

連載「クマさん、ここまでよ

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2022年10月25日)の情報に基づきます。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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