2026.05.27
深める
でも残酷な話、みんながみんな「家」という呪いからそう簡単に、やすやすと逃れられるわけじゃないのよね。
これは、LGBTQに関する発信を続けている最中にも、肌でありありと感じる事実。
カミングアウト後に親兄弟から拒絶され、その生き方を否定される性的マイノリティは後を断ちません。
またそもそも、異性愛規範が支配的な「家」という環境に根本的にこころが安らがず、家族から離れようと試みる当事者は少なくないわけですが。
経済的な自立であるとか、精神と生活を支えケアしてくれる家族以外の誰かの存在であるとか、そうした条件がそろわないと、当人のこの手の望みはなかなか叶わない。
そんな、LGBTQと似たような事情が、毒親に苦しめられている人たちにもおそらくあるんじゃなかろうか。
もし「くろ」さん自身も、なんらかの理由があってご両親から離れられない状況下にあるのなら、あたしの「家から逃げなさい」という目下のアドバイスは、あなたの耳には無責任に響いているかもしれない。
そうだとしたら、本当に申し訳ないわ。
ごめんなさいと、現段階で伝えておきたいと思います。
とはいえ。
物理的、経済的な独立が困難だったとしても、あなたの精神はまずあなたのもの。
それだけは、どんなシチュエーションにあるときにも、「くろ」さんには忘れないでいてほしい。
そして、そんな自分の「独立国」としての領域、すなわちあなた自身のこころの深部のテリトリーを、親たちの「植民地化」からどうか守り抜いてほしい。
これはあたし、真剣に願っているの。
幸い、あなたにはステキなパートナーがいます。
その方のサポートも受けつつ、互いに支え合いながら、徐々にでも当座の呪いというか、「家」という縛りから自由になっていく方向性を、まずは一緒に探ってみてください。
なんなら、手紙の中でも悩んでいらっしゃった結婚についても、お父さんお母さんのことを棚上げにして、パートナーと自分中心に考えてみて大丈夫。
だって憲法24条第1項の通り、結婚は当該のカップルふたりの「合意のみに基づき成立」するものなんです。
婚姻の自由は、あなたの目の前に常に開かれています(LGBTQにも早く開かれてほしい!)。
家父長制という呪いから解き放たれるチャンスは、すぐそこに、すぐそばにあるの。
今回のコラムを通じて、その事実がまず「くろ」さんに伝わっていればなぁ、伝えたいなぁと、あたしはそんなことを考えながら、キーボードに指を走らせていたのでした。
というわけで、今回はいつも以上に複雑な経路を巡りながらでしたが、毒親というテーマについて取り上げさせていただきました。
ちなみに、「家」についてあれやこれや批判的なことを中心に書いてしまったけれど。
個人的には「家」は、誰かとともに生きられる、共にいられるというある種の幸せをもたらし、象徴している記号でもあるなと同時に感じています。
「くろ」さんや読者の方々にとって、「家」がそんな喜びをもたらす、ステキなおまじない的存在でありますように。マジで。
ではでは今日はこの辺で。Sitakkeね〜!
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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部あい
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。
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