2024.11.02
深める普段は警察担当の記者として、道内の事故や事件を取材している金子記者。
月に数回ある泊まり勤務を終えて向かった先は、トレーニングジムです。
金子記者のもう一つの顔。それはパワーリフティングの選手。
2023年の世界ジュニア選手権大会では26位でした。
パワーリフティングは、脚の力を試す「スクワット」、上半身の力を試す「ベンチプレス」、背中と足の力を試す「デッドリフト」の3つの種目の総重量を競います。
金子記者は2024年、国民スポーツ大会の北海道代表予選で優勝。本戦への切符を手にしました。
練習は、1日2時間を週5日。トレーニングが終わり、平日は帰宅するのが午後11時半。
料理も手早く済ませます。
「睡眠時間が命」と話す中、常に時間との勝負です。
多忙な生活の中、トレーニングを続けられる理由のひとつに、9000キロ離れた友人の存在がありました。
避難所でトレーニングしているのは、ガザ地区のパワーリフティング選手、アブデ・スカイクさん(23)。
戦闘により、自宅は破壊され、2人のいとこを亡くしました。
「ガザでの暮らしはとてもつらかった。毎日多くの人が病気で亡くなっていた」
アブデさんは4月、パレスチナのスポーツ協会から支援を受け、父親とエジプトに避難しました。
もう一人の友人モハメッドさんはアブデさんが生きてガザを離れられたことを「奇跡だ」と話します。
ただ、母親や妹は今もガザ地区に残されています。
「エジプトに避難できた人は、思っているほどいい人生を送れていない。常にガザのことを考えている。家族を残して避難できたことに、罪悪感を感じている。」
この状況で、ビザを取得するのも難しく、2024年の世界大会には出場できませんでした。
金子記者はこれまで、アブデさんの避難生活や道内でデモ活動する団体を取材してきました。
「アブデの頑張っている姿をSNSで見て、練習をやらなければと思う。アブデや亡くなった彼の友人のためにも、必ず勝ちます」
■「正直、戸惑った。でも…」こころが男性どうしのふうふが、授かった命 【忘れないよ、ありがとう①】