2024.05.15
暮らす孝は、父・與四郎について、「温厚な人で、一生懸命仕事をやってくれてました」と振り返ります。
口数の少ない與四郎が、酒を飲むと話し出すのが、事件のことでした。
50年ほど前の、與四郎の肉声があります。
孝は、「宝物として保存しているわけなんですけど、後にも先にもこれだけなんですよ録音してるのは」とカセットテープを持ってきてくれました。
そこにはクマに襲われたときの生々しい証言が残されていました。
***以下テープの音声から抜粋***
クマが弟を殺してしまって、すぐ今度は母の後ろから襲ったというわけ。
マッチを出してマッチをすった。そしたらクマの顔が見えた。その瞬間にガッと私に襲いかかってきた。
(近くの民家に逃げ込んだが)父親が先に戻ってきていた。
(追ってきた)クマと出くわしてクマと格闘した。それで父親は11か所の傷を受けた。
お母さんが来たらしいんだ。我々2人(の息子)をやられたから、探したらしい。見つからないもんだから。
そこでクマがお母さんと出くわして、お母さんを連れて山に行った。
「怖い」とか「痛い」とか(聞こえた)。
(クマが母を)引きずってるんだ。
聞こえるんだ、(母の)声が。
山の中腹まで行って、今度食いだした。ガリガリという音が聞こえた。
そのときまだお母さんの声が聞こえた。声が聞こえなくなった。
(自分は)出ない声をしぼって、口から吸った息が(裂けた)横の腹から出るから、ぐうぐうてね、苦しい一方さ。
***テープの音声ここまで***
■「クマ鈴、意味ある?」「クマスプレー、本当に効く?」素朴なギモンを専門家に聞いた