2024.03.20
出かけるAさん
私も、この町に来たきっかけは、Oさんと同じような経緯です。もともと京都で暮らしていたんですが、症状に悩んでいて...。人づてに「豊富温泉って効くらしいよ」というウワサを耳にして、最後の、頼みの綱だと思って、この町に移住してきたのが、いまから5年ほど前ですね。
私にとって、豊富町は、最高の環境です。
いま振り返ると、都会暮らしが長かった私にとっては、人の多さが結構なストレスだったんです。自宅に帰りたいだけなのに、どうしてこんなにも見ず知らずのたくさんの人の中でギュウギュウになりながらバスに乗らないといけないんだろう…って。豊富町はそれが一切ないです。
それに、温泉の効能はもちろんですが、豊富町の広大な景色が大好きになりました。
日本3大湿原の1つ「サロベツ湿原」をはじめ、大自然がたくさんあって。
新鮮な空気、風の流れ…こんなにも、心から季節の移り変わりを楽しめたことはなかったです。
私は、湯治の“当事者”でもあるので、湯治関係の仕事に就くことは、しばらく控えていたんです。人のケアまではまだ自分じゃできないと思っていたので。
でも、少しずつ、豊富町の景色に心も癒されてきて、チャレンジしてみたいと思ったんです。それで、いまこうしてこの宿泊施設で働いています。
湯治客として豊富町にいらっしゃる方って、Oさんや私のようにギリギリの精神状態で、かなり思い詰めて来る方が多いんです。その方々が安心し“あずましく”過ごせるような環境を少しでもご提供できればいいなって思っています。
この町での滞在を通して、表情がみるみる明るくなってくお客様がすごく多いんです。
最初は言葉数も少なく、顔を隠していらっしゃったお客さんが、少しずつ“隠す”のをやめて、心も解放的になっていくんです。清掃スタッフとして、お客さんのサポートに関わらせて頂くこの仕事がとても好きです。
もちろん、観光や美容目的でも、豊富町へ来てくださる方は、どなたも大歓迎です!
特に、都会から来たお客さんの中には、「ここにきて人生観が変わった」「人生でこんなにのんびりしたことがない」という方も多いんです。“お疲れ気味”な人たちに、ぜひ豊富町でゆっくりして行ってほしいです!
「豊富温泉ならではの灯油のような、お湯の匂い。今となっては、私たちにとってお守りみたいなものです。嗅ぐとホッとするんですよ(笑)」と笑顔で話す、OさんとAさん。
「ナベ子さん(筆者)、きっと普段からお忙しいんでしょう?せっかく来たんだから、のんびり過ごしていってくださいね。お話できて、とっても楽しかったです!」と暖かい言葉までかけてくれました。
宿を訪れた人を、まるごと包み込んでくれるような、優しい笑顔のお二人。自分の心がじんわりと解けていくのを感じました。Oさん、Aさん、貴重なお話を本当にありがとうございました!
お二人の取材を終えたあとは、夕飯の時間まで、客室でPC作業に取り掛かりました。
「アズマシーナ」では、ワーケーションでの利用も推進しているとのことで、部屋の中は、Wi-Fiも完備されていました。希望者には電源タップやUSBタップ、デスクライトまで、無料の貸し出しサービスも。清掃スタッフのAさんとOさんが隅々までキレイにキープしてくれている客室は、居心地も抜群!私も友人も集中して仕事をすることができました。
お風呂から上がった後は、「ふれあいセンター」内にある食堂で、AさんとOさんおすすめのジンギスカン鍋をオーダーしてみました。
ラムジンギスカンのライスセット(1,400円)と、エゾシカジンギスカンのライスセット(1,250円)、それぞれ1人前です。ボリュームの多さにビックリ!
そして、じっくり焼いて…口に入れて、さらにビックリ。
これがね…もう、絶品です。めちゃくちゃにおいしい。
今まで食べたジンギスカンの中で一番のおいしかったかもしれない。
このボリューム感とこのおいしさで、この価格。「東京や札幌の都会だと、なかなか見かけたことのないくらい、コスパ高くない!?激ヤバ!」と、今回、東京から同行している友人もビックリしていました。たしかに、満足感がハンパない。
ご飯をもりもり食べて、フ~ッ……。満腹!!
この後はふれあいセンター」の温泉に入浴し、「アズマシーナ」に戻り、夜22時には布団に入りました。この日、豊富町で出会った人たちの、優しい笑顔を思い浮かべながら、お腹いっぱい、幸せいっぱいな気持ちで眠りにつくことができました。
⇒次の日は、豊富町市内を巡ります。(【PART3】は近日公開予定です。)
<取材協力>
・【町営温泉入浴施設 豊富温泉ふれあいセンター】
https://toyotomi-onsen.com/hotspring
・【Toji Stay アズマシーナ】
https://azumashi-na.com/
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※2024年2月取材時の情報です。最新の情報は各施設のHPをご確認ください。
文:Sitakke編集部 ナベ子
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