かたや、おじさん世代の自分が注目しているのは糸師冴(ルビで「いとし さえ」)。
主人公のライバルの兄で、スペインの名門チームの下部組織で活躍する天才だ。
この男、登場人物たちの中でも、輪をかけて口が悪い。目上にも生意気かつ無礼で毒を吐きまくる。コンプライアンス的には即レッドカードの言動ばかり。巷で話題のTBS金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」の小川先生の方が、はるかに礼儀をわきまえている。もちろん、ミュージカル風に語ってくれるなんてことは死んでも無い。
同じく口の悪い弟には、特に手厳しく犬猿の仲だ。主人公のプレーはクールに評価する一方、弟はいくら活躍してもガン無視。ただ、嫌われ役を敢えて買い、弟の怒りのモチベーションを呼び起こして鍛える超スパルタ教育を実践しているようにもみえる。
言い訳や妥協が一切許されない勝負の世界。アクの強いキャラクター一人一人が限界までエゴを突き詰め、互いのエゴを“化学反応”させて奇跡的な勝利をつかみ取るー作品の端々から、そんなメッセージが伝わってくる。多様性やバランス重視の令和の時代にはそぐわないが、無茶苦茶で昭和っぽいギラギラ感は、中毒性が高い。
イベントからの帰り道、長女は購入した潔のグッズを手に取って満足そうだ。4月に上映されるスピンオフ映画を見に行きたいか尋ねると、「潔が脇役扱いだし、凪(※スピンオフ映画の主人公)みたいな無気力タイプは興味ない」とつれない返事。
凪誠士郎(※ルビで「なぎ せいしろう」)はだらしない性格だが、やる時はやる本番に強いタイプ。個人的にはお気に入りのキャラだが、若い女性客に交ざって、おじさん一人で見るのはちょっと…などと思案していると、長女がスマホで動画を見始めた。
「やっぱりYOASABIの主題歌いいわ。潔もいいけど、フリーレンは最強!」
ついにそう来たか…ブルーロックの最新刊を買いに行った時、大型書店の店頭に負けじと並んでいた人気漫画『葬送のフリーレン』の主人公だ。戦闘シーンはそれなりに描かれるが、物語全体の熱量は決して高くない。ブルーロックとは対照的だ。一見すると物足りないが、淡々とした描き方の裏には…
えっ、なぜ自分が漫画の内容を詳しく知っているかって。まあ、長女みたいな突っ込みは無しということで。
んー、回を重ねるにつれ、長女の気まぐれがうつってきたかも。
※2024年2月現在の情報です。
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文:ゆゆパパ
編集:Sitakke編集部 ナベ子
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