Department 56社製の人形は、それぞれにテーマが設けられているのが特徴だ。例えば「Bringing Home The Baby」という人形は、生まれたばかりの赤ちゃんを抱いた母親と、祝福の花束を持った男性がセットになっていて、街角に心温まる物語を生み出す。そうした物語まで作り込まれていると思うと、見どころは無限だ。ジオラマのなかにしか存在しない街だが、そこにある風景は見る人の記憶と結びついて個々の物語を描いていく。
毎年クリスマス時期に行われているジオラマの展示について、小笠原さんは「完全に趣味ですね。自己満足です(笑)」と語る。150年以上の歴史を持つ老舗和菓子店でこうした展示をすることに反対意見はなかったのか伺うと、「古い会社だからこそ、堅苦しくないことをしたいという意識がありました。父もずっと商店街でイルミネーションを作っていた人なんです。だから、ジオラマについても楽しそうにお客さんに紹介していますね」という答えが返ってきた。老舗和菓子店とクリスマスのジオラマ展示。一見無関係な両者だが、通底しているのはお客さんに喜んでもらいたいという心意気なのかもしれない。
※残念ながら『五勝手屋本舗』2Fでのジオラマ展示は1月末で終了予定。来年度も展示が予定されている。
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