路上で “植木鉢”になりきっている男性に突撃取材をしてみたら「大切なこと」が見えてきた【海と人生⑤】

奥平さん（77歳）の人生観

私：お仕事は何をなさっていたんですか？

奥平さん：私の父と同じく、臨床技師です。

父に対して憧れを持っていたから、その職に就いたのだろうか？質問してみると「特にそういうわけではない」と言う。

奥平さん：職業を決める際に大切なのは、“食べていけるかどうか”だと思う。自分（の好み）で、決められるものじゃないと思う。

実に現実的な考え方だ。でも、私は何の疑いもなく「たしかにそうかもな」と納得した。
「仕事は仕事、趣味は趣味」と割り切った考え方が、きっと奥平さんには合っていたんだ。
だから奥平さんには、どこか余裕があって、満たされた雰囲気があるんだろう。

「絵に合わせて額縁の色を決めるんだ。額縁も削って自分で作っているんだよ」

額縁も絵も、すべてが絶妙なバランスで調和している。道行く人々の視線を引き付ける不思議な魅力があった。