そしてもうひとつ、進めておくべき次のステップがありました。
屋内の奥側の柵があき、やってきたのは10歳になったニャイン。
パール・タオ親子とメスゾウの「同居」の訓練です。
実は、タオの出産は、これからのゾウ飼育の未来へ、大きなきっかけになる期待が込められていました。
タオが産まれるそのとき、柵越しに見守っていたニャインとシュティンのメスの親子。
特にニャインにとっては、出産を見るのは初めての経験でした。
出産の瞬間から、パールの授乳の様子、産まれたタオの一挙手一投足…
「ニャインは今本当にいい経験ができていると思う」と飼育担当の小林真也さんは話します。
それは、そう遠くないうちに訪れるだろう、ニャインの妊娠・出産にむけての経験。
実は、パールの出産よりずっと前から、円山動物園ではすでに、そんな「次の未来」を見据えていました。
ニャインは、現在も定期的にオスのシーシュと同居し、交尾も確認できるようになっています。
小林さんは「そんなに時間がかからずに、繁殖もうまくいくんじゃないかと感じています。手ごたえはありますね」と自信を持っています。
今、ニャインがパールやタオと過ごすことはそんな「次の未来」への一歩。
野生のゾウのように「メスの群れ」で子育てをすることにつながる一歩なんです。
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