タレ作りのベースとなるのは“だし”。
九州から取り寄せている地鶏の鶏ガラです。
産卵の役目を終えた親鳥からは、濃くてうま味の強いだしが取れるのだそう。
鶏ガラから旨みが溶け出すまで2日ほどかけて、じっくり“だし”を取っていきます。
「ダシの取り方で、味も変わる」と静枝さんは言います。
この鶏ガラのダシに、合わせ調味料として、しょう油と砂糖、みりんが入りますが…ここに秘密の2つのもの、ひとつは野菜、そしてもうひとつは穀物を入れます。
この2つが入ることで、吉田屋秘伝の“たれ”が完成します。
吉田屋は、日曜日の定休日を除いて、毎日午後5時から店を開けています。 年齢を感じさせない振る舞いで店に立つことを生きがいとする静枝さん。
でも、これまでの人生には、辛く悲しいこともありました。
今から17年前の2006年のこと…
それまで夫婦二人三脚で店を切り盛りしてきた夫が突然倒れ、帰らぬ人に。
ここまで頑張ってきた静枝さんも77歳になり、体力的な衰えも感じるようになってきました。
そんな中、今年の夏、吉田屋の跡継ぎにしたいと思える女性が現れたのです。
今年の夏から働き始めてまだ3カ月の山内萌さん。
静枝さんが吉田屋の跡継ぎにしたいと思った、初めての女性です。
萌さんは元々、家族でお店に訪れていた常連客。
短大時代に大手居酒屋チェーンでのアルバイト経験があり、去年から度々お店を手伝っていました。
今年の7月、辛く悲しい出来事が…萌さんの3人目のお子さんが病気のため天国に。
最愛の息子さんを突然失い、大きな喪失感で塞ぎ込んでしまった萌さんを心配したご主人が、吉田屋で働かせてくれないかと静枝さんにお願いしたのです。
接客の良さやお店での立ち振る舞いが完璧で、その様子が静枝さんの目に止まり、「お店を継げるのなら継いでもらいたい」と萌さんに話をしたそうです。
萌さん「血のつながりはないけど、家族みたいに接してくれる。私にとって、女将さんは大きな存在。まさか自分が、継いで欲しいって言われるとは思ってなかった。恩返ししていきたいと思っています。」
「やきとりのタレは、人生をかけて作り上げたタレだから、おいしいと思われるのが一番。常にそれを心がけてやってるから。」と静枝さんは言います。
※掲載の内容は番組放送時(2023年11月17日)の情報に基づきます。