2023.08.24

みがく

「変化していく自分を責めないで」更年期、自分や周りとの上手な向き合い方。簡単ストレッチ講座付きコラム【ココロとカラダ #vol.15】

毎日がんばる“わたし自身”を、いたわってあげませんか?

ココロとカラダをセルフケアするためのTipsを、簡単な運動と共にゆるっとご紹介。北海道内を中心に、25年以上に渡って「女性の健康と運動」を研究・サポートしてきた、寅嶋先生にご提案いただきます。

連載「ココロ伸ばし、カラダ伸ばしの、ワン、ツー、スリー!」

こんばんは、とらしまです。

更年期向けの健康講座を通じて出会ってきた方々には、さまざまなタイプの女性がいらっしゃいました。
産後や子育て初期よりも、更年期に含まれる年代は幅広く、それぞれ、人生のバックグラウンドも違う。だからこそゆえ、でしょうか。

更年期に対する捉え方も、お悩みも、まさに「十人十色」でした。それが私には興味深かったし、多様性を感じる時間でもありました。

更年期に悩む女性たちのリアル

数人、印象深かった方について、ご紹介しようと思います。

■50代後半のAさん
出会った当初は、月経周期の乱れが継続するなど閉経が近づくサインを日々日々感じ、「ああ、私ってなんだか年をとったのね、もう終わりね……」と、まるで人生が終わってしまったかのようでした。講座に参加するうちに元気になって、明るくなってお帰りになられたのはありがたかったです。

■40代後半のBさん
尿漏れがあることを誰にもずっと言えずにいて、私にこっそり耳打ちしてきた方。「しんどかったの、ほんっとにしんどくてね。でも今日、みんなそれぞれあるんだなってちょっとだけわかったから安心しちゃった」と笑顔で話してくれました。講座の後も毎日体操しているようで、ご連絡をいただいたりもしました。

■40代前半のCさん
月経不順とホットフラッシュが起きて、「なんか変〜!」を感じていたそう。「汗ばっかりかくって、息子がばかにするの!イラつく!」とイライラの日々を送っていて、「毎日が、思春期真っただ中の、中学生の息子たちとの戦争だ!」と燃えていました。

■50代前半のDさん
「あー、しんど!」が口癖。でも運動をしていると楽しそう。「仕事以外で動かすのって楽しいわね」「仕事、やめたいけどやめらんないのよ~」と、毎週、お仕事のつらさを吐いてらっしゃいました。

■50代後半のEさん
更年期の方向けの講座に自ら参加してきたのに、「私って〇〇だからさ、いいのよ、これはもう、仕方がないの!」などさまざまな理由をつけ、「更年期であることを絶対に認めない!」を貫かれていました。保健師さんと相談しつつ婦人科受診をすすめましたが、あの後、行ったのでしょうか……。気になっています。

更年期の心と体のしんどさは、自分との向き合い方や、人間関係へ影響したりします。

健康講座の最後に行ったグループワークでは、みなさん一様に、「更年期ってなんだか表現しづらいよね、大変な時期なのに、あんまり悩みを人に言えないよね」と話されていました。でも、悩みは共通していても、そこへの向き合い方や対処法は人それぞれで、私にとっては勉強になることばかりでした。

尿漏れを打ち明けてくださったBさんは、上司への愚痴などは話すものの、最後は自らそこにフォローを入れるようなタイプ。とても穏やかで正直で、他人との距離の取り方が上手く、人との関わり方も上手な印象でした。

子育てに大忙しで女性としての自信を失っていたというCさんは、運動したら元気になってきたそうで、「イライラしたらプチ家出する!」と別の方向へ燃える気持ちを向け、お子さんと喧嘩しそうになったら外に出てウォーキングすることでリフレッシュを図っていました。

「人付き合いが上手な方々は、運動を通して自分と向き合いながら、家庭や仕事とも向き合い、リフレッシュ方法などを編み出していくんだな。素敵だな」と心から思いました。
それに比べて、「私は更年期じゃないわよ!」と豪語していたEさんは、講座の4回目には、人付き合いのお悩みを私へぶつけてきていました。恐縮ですが、不調からくる頑なさが、さらに悩みを生み出してしまっているように、私には見えました。

更年期は、体調を崩す→鬱々とする→メンタル低下……という負のスパイラルが起こりやすい時期。その中で、自分を受け入れられなかったり、周りとうまく関われないことも増えてくると思います。まずは、変化していく自分を責めたり、否定したりしないでいただけたらな、と思います。そして、自分に合った運動法やストレス解消法を見つけて、ゆっくり心身を整えていくことが、自分自身とも、周りともうまくやっていくためにとても大事なことだと感じています。

最後に、私が出会ってきた更年期の女性たちからいただいた、素敵なメッセージをご紹介します。

欲求貯金、おもしろいですよね!私には、「自分に敬意を払わない人に……」のメッセージがとても響きました。困った人には淡々と……でいいんだなと思えたのがありがたかったです。
物事をポジティブに、いろいろなかたちで捉えられるようになると、周りとの関わりも、うまくまわっていくようになるなあ、と思います。そして、何よりも自分自身が楽になれますよ。

参考になるメッセージがあれば、ぜひご活用を。

今日の“カラダ伸ばし”

今回は、メンタルへフォーカスしたストレッチングをご紹介。脇の下から脇腹を伸ばすことで、リンパの流れを促し、老廃物を流します。お腹を伸ばすことで、自律神経にも働きかけます。メンタルがさがっているときこそ取り組みたい、効果抜群のストレッチングです!
「ああ、痛気持ちいいわ~」の中で、身体がすーっとなっていくのを感じていただければと思います。

①右手で左手首をつかみ、左側の脇の下から脇腹までを、ぐーっと伸ばします。手首を掴むのが難しい人は、両手をあげて横へ倒れましょう。
②フッフッと、ちょっと強めに呼吸をしながら1、2、と左に倒れたら、左手で右手首を掴んで、次は3、4、と右へ倒れます。テンポは比較的ゆっくりでOK。
③上記をリズミカルに、往復3~5回ずつ繰り返します。余裕があれば、10往復行ってみましょう。

こころもカラダも、ゆったり、ワン・ツー・スリー!
明日も、みなさんが元気な1日を過ごせますように。

***

■プロフィール:寅嶋静香(とらしましずか)
京都工芸繊維大学研究員。2001年東京大学大学院 生命環境科学系身体運動科学講座終了 PH.,D(専門:運動・スポーツ生理学)
女性と運動の関係を研究するかたわら、「産後こそ、母になったご自身を大切に……」を合言葉に、科学的なエビデンスに基づく、安全・安心を担保しながらの産後の母親支援(健康サポート)を北海道内で12年間実施。このほか、更年期女性へのケア講座なども道内各地で実施。主な著書に「バウンス運動の生理学的基礎~バランスボールで弾む運動の科学的分析~」(ブックハウスHD、2022年8月)

Edit:ナベ子(Sitakke編集部)

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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