2023.08.19
暮らすことし札幌では、8月15日までに、去年の約1.8倍のペースでクマが出没しています。
6月後半には南区、西区と広範囲で出没が相次ぎましたが、その多くに、「1頭のクマ」が関わっているとみられることがわかりました。
連載「クマさん、ここまでよ」
6月後半、西区や南区で相次いだ出没。札幌市が警戒する「1頭のクマ」がいます。
それがこちらのクマ。ことし6月17日、西野市民の森に設置した札幌市のカメラに姿が映りました。
この画像が撮影される前の午前9時40分ごろ、このクマと思われる目撃情報がありました。
場所は西区宮の沢の宮ノ丘幼稚園。
目撃した職員は、「カラスが異常に騒いでいたので、見ると、クマがこっちを向いていた。体長が1.7メートルくらい、大きいクマでした」と話していました。
男性のおよそ30メートル先にいたというクマは成獣とみられ、およそ1時間後に山の中へ去っていったということです。 17日は土曜日のため、幼稚園は休みでした。
その後、午前11時半ごろにも、数百メートル離れた西区西野の宮丘公園の散策路で目撃。
画像が撮影されたのはその後、午後0時半ごろから午後6時すぎにかけて。西野西公園の入口から200~400メートルほど入った散策路で、複数の監視カメラに映りました。
札幌市が現地を調査したところ、足跡が残されていて、前足の幅が15~16センチほどあったことから、、撮影されたクマはオスの成獣とみられています。
さらに翌日。西区西野の、西野すみれ公園に近い山林でクマが目撃されました。
これを受けて、札幌市が現地を調査したところ、複数の場所でクマのふんが見つかりました。
また西野市民の森に設置された監視カメラには、前日に続いて18日もクマが撮影されていました。
札幌市は一時、公園を閉鎖するなどの対応をとりました。
その2日後。今度は南区での目撃でしたが、こちらも同じクマとみられるというのです。
6月20日夕方、札幌市南区の藻岩山の斜面で「クマが4頭から5頭いる」と通報がありました。その後、駆けつけた警察や札幌市の職員が、現場でクマ1頭を確認しました。
クマは斜面を駆けあがり、茂みに消えていきました。
目撃した人は、「会社の裏口から出たら川を挟んで向こう側でクマと目があった。たぶん人慣れしている感じで、怖がらないで休憩している感じだった」と話します。
現場は藻岩山の麓で、国道230号線=通称・石山通に近い住宅街です。
そして翌日からは、南区真駒内の住宅地で目撃が相次ぎます。
21日午前5時半ごろ、真駒内公園で、体長およそ1.5メートルのクマの目撃情報が3件相次ぎました。
近くの小学校では、児童が保護者の付き添いで登校しました。
公園では、クマの足跡やアリを食べるために掘ったとみられる跡も見つかりました。 真駒内公園は「全面閉鎖」に。隣接する藻南(もなみ)公園も2週間ほど閉鎖されました。
さらに午後9時すぎにも、札幌市南区真駒内柏丘(かしわおか)の国道を走っていた車の中から「クマが10メートル並走して、山の方に行った」と警察に通報がありました。
その後、柏丘では、22日午前3時半前にも、タクシーの運転手が国道453号線を東から西に横断するクマ1頭を目撃しました。タクシーが通過すると、クマは、再び西から東に移動したということです。
これらの出没を地図に落とし込むと、南区と西区で約15キロほどの距離がありました。
札幌市によると、これだけの距離があるにも関わらず、現場に残されたDNAや足跡などから、すべて同じクマだと見られています。
さらに、6月10日に小樽で調査中に見つかったクマのフンからも、同じDNAが検出されました。
クマには南区と西区、さらに市町村の区切りも関係ない…
そんな事例は、実は過去にもありました。
つづきは後編の記事でお伝えします。
⇒【クマがエナジードリンクを飲んだ?オスとメス、クマと人…出没の裏にある理由は】
連載「クマさん、ここまでよ」
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※掲載の情報は取材時(2023年6月~8月18日)の情報に基づきます。