2023.06.22

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営業職なのに、初対面の人と話すのが苦手です。アドバイスが欲しいです【お悩み#40】

は〜い皆さん、ご機嫌よう!「お悩み相談コラム」担当・満島てる子です。

ことしの6月は、よさこいにお祭りと、段々と街に活気が戻ってきましたね!
あたしのお店、7丁目のパウダールームも、コロナ禍にはなかった勢いで連日大盛り上がり。
様々なお客様のお話を聞いたり、時に馬鹿話なんかもしつつ、毎日楽しい時間を過ごさせてもらっています。

(ここで言う馬鹿話ってね、とっても申し訳ないレベルのやつなの。例えばこないだとか、出勤途中にカラスに襲われて頭皮えぐられかけたんだけどさ、あたしったらその後ほんと頭きちゃって「あの鳥野郎め、絶対に許さないわ!!!」って怒り続けてたら、一晩終わったの。ご来店いただいた皆さん、心からごめんなさいね……)

人と会話するってとっても楽しいことだなぁと、改めて思う日々。
なんですが、だからこそふとした瞬間に、そもそも「話す仕事」ってとっても難しいなぁと思ったりするのよね。
例えばどんなことを話すか、どんなふうに話すかもそうだし、初めましての方の心を開くにはどうしたらいいかとか、考えるポイントがたっくさん。

今回のお悩みは、そんな「話す仕事」のひとつに携わっている方から送られてきたみたい。見てみましょう。

読者さんのお悩み

なんと!東京の方からのお手紙なの!?
便利な世の中になったものよね〜。このSitakkeもWEBメディアだから、日本全国どこからでも見れるわけだし。ほんと、時代はインターネットって感じだわぁ(?)。

にしても、結構率直に書いてくれているからこそ、その真剣さがにじんでいるというか。
Y.Aさん、お悩み送ってくださり、ありがとうございます!

そっかそっか、あなた、営業職なのね。
大変よねぇ。営業って、ひとつの会社のなかに数多あるであろう仕事のタイプからして言うと、その中でもダントツに「人として気に入られるかどうか」が自分の売上にも関わっちゃいかねない役割なんだもの。
それでいて「初対面の人と話すのが苦手」となると、そりゃ苦労も多かろうに。
なかなか緊張と焦燥が耐えない環境なんじゃないかしら。まずは、毎日お疲れ様です……!

そうよねぇ。誰かと打ち解けたいと思ったら、やっぱり言葉を交わしてっていうのは必須になってくるだろうから、「どんな会話をしたらいい」のかって自然と考えさせられるよね。
これ、営業ってジャンルを広くとらえるならなんだけれど、「お客様と接し、もてなす」というのをなりわいにしている全ての人が、少なくとも一度は悩んだことのある話題なんじゃないかなと思います。

あたしたちのような飲食店もやっぱり、接客が大事な軸になってくる職業のひとつ。だから、冒頭でもちょっと書いたけれど、日々トークに関する悩みは尽きないんです。
だってさ、カウンターに座ったとして、目の前に黙って突っ立ってるバースタッフがいても、お客さんとしてはちっとも面白くないじゃない?

カラオケや飲みゲームといった、トーク以外の盛り上げ方•おもてなし方法もあったりはするんだけれども、それってどこまでいっても飛び道具。
基本は「こいつの話面白いな〜」とか「あの子としゃべりたい!今日店行こうかな!」って思ってもらえるよう、目の前の1杯のドリンクを言葉を駆使して飾りつけ、そのデコレーションで価値ある時間を提供するのが、飲み屋さんの人間の仕事なわけです(正直、お酒飲むだけなら家でもできるしね)。

ただ、毎日店にいると、まぁしゃべるネタなんて補充しなきゃ段々尽きてもくるしさ。
そもそもアンテナ張って情報を積極的にキャッチし、「どう調理したら面白い話になるか」って事前に考えておかないと、しゃべろうとしても話題なんて全然作り出せないものなのよね。
その日の調子ってのによってもいろいろ左右されちゃうし。

なんなら、やっぱり初対面のお客様が一番難しいのよ。
どんな話で喜んでくれるのか未知数となると、こっちも色々探り探りになったりするわけで。
その人が心を開いてくれるまで「くぅぅ、どこがツボなんだぁぁ」って四苦八苦。
だからY.Aさんの気持ち、痛いほどよくわかるのよねぇ〜。

「初めまして!」とお声がけするときの独特の緊張感。
「あるあるだよなぁ」と今回のお悩みに共感しつつ、あれこれ仕事中の自分の感覚も反芻してしまうあたしだったのでした。

あたしなりのAnswer

さて、今回のような率直でシンプルなお悩みには、あたしもできる限りわかりやすくてはっきりとした答えを用意したいのよね。ただこの場合、「どんな会話をしたらいいのでしょうか」って聞かれて「こんな会話!」とはなかなか即答しにくいところがあるの。
だって、トークってアメーバみたいなもの。その場その場でかたちが変化していくから、その“正解”も都度、うつろっていくように思うんです。

なので、Y.Aさんが気に入ってくれるかはわからないけれど、あたしなりの「初対面の人と打ち解けたいあなたに贈る3箇条」を代わりに考えてみたので、ここで発表しちゃおうと思います。はいドーーーーン!!!(唐突な喪黒福造感)

え?突然新しいジャ◯プ漫画でも始まったんか?って感じかしら。笑
それぞれどういうことか説明していくわね。

①師匠を持とう

「人前で話す」「誰かと接する」って、お仕事としてそれをする場合、やっぱり特殊技術みたいなものが必要になってくる気がします。独特の呼吸の取り方、空気感、言葉選びの方法。表情の作り方ひとつ取ってしても、その道のプロたちはそれぞれのこだわりを持ってやっているように思うのよね。きっとY.Aさんも他の人の営業の様子を見て「わ、この人すごい」って感じたこと、あるんじゃないかしら。あたしは今でも「どうやったらこんなにお客さんを楽しませられるのかしら」と、先輩たちの姿に憧れの眼差しを向けること、多々あります。

そういう尊敬の対象というか、すごいと思える同業者たちを、徹底的に観察してみてください。そして、何がすごいのか、どこが自分と違うのかを分析し、できるとこは可能な限り真似をしてみてほしいんです。直接教えてもらえなくても大丈夫。勝手に自分の中で「師匠」と位置付け、これに習う。同じように振る舞えるようになれば、もうこっちのもの。

初対面の人との対峙の仕方、アイスブレイクの方法などは、比較的真似しやすい事例のはず。Y.Aさんなりの師範代たちを見つけて、その方々にどんどんセルフ入門しちゃってください。

②必殺技を持とう

師範代たちを観察しているうちに気づくんじゃないかなと思うんだけれど、彼らには「これは必ずキマる」「この流れにもっていけば大丈夫」という定石というか、決め手にしているやり方やネタがあるはずなの。歌舞伎じゃないけど「十八番」的な、本人たちが安心して披露できる技をいくつかストックしている場合が多いのよね。

それを参考にしながら、自分専用の武器を作っていくというか、Y.Aさんなりの話運びができるよう、ちょっとずつでいいからトライしてみましょう。
例えばあたしだったら、初めての人には必ず「カラスにズラを食われた話」を画像付きでするようにしていたりするわ。(詳しくは 過去記事を見てね。今日なぜかカラスの話まみれね……)。

そんな「この話すれば絶対に打ち解けられる」っていうネタを見つけるためにも、日頃から様々な方向にアンテナを張っておくといいのよね。あと「こう話せばいいんだ」って感覚を掴むためにも、しゃべる場数も踏んでおくとGOOD。例えば、プライベートであえて初対面の人と会える場所に行って、そこでトークの練習をしてみるのもひとつの手。

あなたなりの必殺技を、ひとつでもふたつでも増やして、現場で活かせるようにしてはどうでしょう。ぜひやってみてね。

③逃げる勇気を持とう

これが多分一番大事。

あのね、Y.Aさん。
これあたしの個人的な感覚かもしれないけれど、正直「俺営業に完璧にハマってる!」と確信できている人なんて、そうそういないんじゃないかしら。
みんな割とシャイな部分を抱えながら、なんとか知らない誰かとビジネス上打ち解けようとして、あれこれ試行錯誤してるんだと思うのよね(①②は、その試行錯誤の一つの方法ね)。

ぶっちゃけ、あたしもそう。
バーの店長として、パレードの副実行委員長として、人前に出ていって色んな話を様々な方とさせてもらっているけれど、本当のところはあがり症で人見知り。
「ああ、初めましてだけれど、このお客さんにはハマらないかも……」って、心折れる瞬間、今でもあったりします。

Y.Aさんも初対面の人と馴染めなくて、メンタルポッキリいくこと、きっとあったと思うし、これからもあると思うの。
そんな時はね、「あ、この人とは合わないんだな。ま、いっか」って、さらっと諦めてもいいんです。何なら、どうしてもうまくいかないお客様は、他の人にお願いして担当変わってもらうのだってアリかもしれない(社内の都合上、そう簡単にはいかないかもしれないけれど、でも本気でそう思うの。あたしは「こりゃあかん」と思ったら、波長の合いそうなスタッフに接客を代わってもらっています)。

「苦手なものは苦手」。そう認めることで、まず気が楽になるはず。
そして、その先の新たな選択肢もきっと見えてくる。そのことを忘れずに、頑張れるところはまず頑張ってみましょう。その上で、無理なら「無理」と発してみてください。環境さえ整っていれば、きっと周りの人が助けてくれるはずだから。

営業特有の難しさを、そのまんま「難しさ」として認めてしまって、それなりにやる。
Y.Aさん自身が潰れちゃったら元も子もないもの。まずは自分を優先して欲しい。そんな気持ちから選んだ、今回の3箇条だったのでした。

ま・と・め♡

いかがだったかしら?
Y.Aさんにとっては、ちょっと想像とは違う方向からの回答だったかもしれないけれど、少しでも参考になっていればと思います。

読者の皆さんの中にも、おそらく接客業の方々、少なからずいらっしゃるわよね。
ほんっと誰かを言葉でもてなすって一筋縄じゃいかないよね〜。だからこそ、学ぶこともたくさんあるし、何より人と話すのって楽しいときしっかり楽しいから、結局やりがいもたっぷりある職種だったりもするんだけれど。

日々悩みまみれですが、それでも自分にとって仕事といえばやっぱり、カウンターに立ち言葉でエンターテインすることなのだろうなぁと、そう思ったりもするのでした。

7パウもなんと6周年。今月末には、ささやかなパーティーやる予定なの。
たくさんの人の笑顔に会えればなぁと、いまからワクワクです。

よしッ!これからも飲み屋の店長、ゆるゆる〜っとだけどそれなりにがんばるゾ!
ではでは皆さん、Sitakkeね〜!

***
文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:ナベ子(Sitakke編集部)
***
満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「 さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。) 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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