2023.02.10

みがく

更年期の“カラダ”を知ろう!簡単ストレッチ講座付きコラム 【ココロとカラダ #vol.3】

毎日がんばる“わたし自身”を、いたわってあげませんか?ココロとカラダをセルフケアするためのTipsを、簡単な運動と共にゆるっとご紹介。北海道内を中心に、25年以上に渡って「女性の健康と運動」を研究・サポートしてきた、寅嶋先生にご提案いただきます。

連載「ココロ伸ばし、カラダ伸ばしの、ワン、ツー、スリー!」

こんにちは、とらしまです。今回は、真っただ中の方も、これから迎える人もきっと気になる、「更年期」をテーマにお話ししたいと思います。

私は北海道内を中心に、更年期を迎えた女性への健康運動処方講座も担当してきました。これまでに講座を受けてくださった方は300人ほど。みなさん、いわゆる「更年期障害」、つまり、女性ホルモンの低下による特有の身体症状や、精神衛生面でのマイナスの状況に悩まされていました。でも、相談できるところがなくて困っていたそうです。「子育て広場があるんだから、更年期広場があってもいいじゃない〜」なんて声を聞いて、こんなにみんな悩んでいるんだから、おっしゃるとおり!と感じました。

図1 更年期症状のいろいろ

講座に参加した方がよく挙げられる症状は、こんな感じです(図1参照)。

身体に関しては、尿漏れと腰痛、ホットフラッシュが上位に挙がっていました。特に尿漏れは、生活の質(QOL)に直結するという点で、とても大きな悩みの一つ。50代中盤の女性は、「いつトイレにいきたくなるか分からないから、札幌駅までのJR全駅のトイレ位置を把握してます!」と、びっしり書かれたメモを見せてくれました。「トイレが近くて落ち着かない」「漏れてしまった時にはあまりのショックで鬱々しちゃった」など、トイレの悩みはどんな方にとっても大問題。

若い方でも他人事ではなく、「出産を契機に30代の時から10年以上尿漏れし続けていたけれど、誰にも相談できなかった」という方も。これは決して珍しいことではなく、出産後、2〜3割の方には、尿漏れの症状が出るといわれています。

冷えると、トイレがさらに近くなりますから温めたいところですが、そこは北海道。冬の寒さが身体には負担になります。
私が見ていてびっくりするのは、厳しい冬に慣れているせいか、自分が冷えていることにすら気づいていない方もいるということ。ちなみに、私、とらしまは、転勤で北海道に来た時に、人生で初めて冷えを感じ、激厚の靴下や湯たんぽを買って防御しました。それでも寒かった! 出身地の差はあっても同じ人間なんですから、北海道の女性だけは寒くても平気……なんてわけないよー!と、声を大にして言いたい。身体、しっかりと温めましょう

さて、尿漏れを止めるために役立つ運動、あります!
更年期や出産を機に起きがちな尿漏れを、「腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)」といいます。くしゃみなどで尿漏れしてしまう、というアレです。主な原因は、尿を止める筋肉の活動の弱まりです。これらの筋肉を使ってあげることで、じわじわとですが、改善へ向かうことができます。

今日の“カラダ伸ばし”

というわけで、今回は【腰回り全体の運動】を紹介します。
4週連続開催の更年期健康講座で、毎回実施したこの運動。最終日には8割の女性の尿漏れがおさまるという効果が! 筋肉は、一度弱ったとしても、「使い続ける」ことで復活できます! また、腹圧性尿失禁に関わる筋肉を使うと、上半身・下半身どちらへの血流も高まるので冷え予防にも。さらに下腹部・太ももの内側の引き締め効果も期待できます。いいことづくめの運動ですのでぜひトライを……。但し、勢いをつけすぎぬよう、深い呼吸と共に静かに行いましょう。

また、妊娠初期の方には、この運動は負荷が高すぎるので、安定期に入るくらいまでは避けてくださいね。

①仰向けになり、膝を立てて手を下腹部へ。ゆっくりと深く呼吸をします。
②手のひらを床につけ、床を手で押しながらお尻を引き上げます。「肩~腰~お尻」が図のように一直線になる姿勢を目指し、ゆーっくり、じわじわと上げていきましょう。左右の太ももはくっついていることが理想的。どうしても隙間が空いてしまう場合は、こぶし1個分くらいまでにします。

③息を吐きながら3秒間、②の体勢をキープ!この時、お尻はキュッと引き締めて。講座受講者の方いわく「お尻で1万円札を挟み、絶対に落とさない!」とイメージするとなぜか頑張れるそう!
④床へお尻を静かに落とします。①〜④を3~5回ほど繰り返します。

***

次回は、更年期のココロについて、お話しします。
こころもカラダも、ゆったり、ワン・ツー・スリー!
明日も、みなさんが元気な1日を過ごせますように。

ライター:寅嶋静香(とらしましずか)
京都工芸繊維大学研究員。一般社団法人フィジカルケアラボ 理事。
2001年東京大学大学院 生命環境科学系身体運動科学講座終了 PH.,D(専門:運動・スポーツ生理学)
女性と運動の関係を研究するかたわら、「産後こそ、母になったご自身を大切に……」を合言葉に、科学的なエビデンスに基づく、安全・安心を担保しながらの産後の母親支援(健康サポート)を北海道内で12年間実施。このほか、更年期女性へのケア講座なども道内各地で実施。主な著書に「バウンス運動の生理学的基礎~バランスボールで弾む運動の科学的分析~」(ブックハウスHD、2022年8月)

Illustraion:まるいみさき
Edit:ナベ子(Sitakke編集部)

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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