2023.01.22
育む12月末、札幌の出版社で1冊の絵本が完成しました。
題名は「いきている ただそれだけで」(中西出版)。
絵本のテーマは、命の始まり。
作ったのは、札幌と北広島に住む、2人のママです。
大切なのに、何をしていいかわからない、性教育。
ママ自らの経験からできた、絵本が助けます。
連載「じぶんごとニュース」
絵本の文を担当した青木奏絵さんは、3人の小中学生を育てる元保育士。
現在は、性教育アドバイザーとして、全国で講演をしています。
青木さんは、「今の子たちがやっぱり、ものすごく情報がはやいので、もっと小さいときから、(性教育を)恥ずかしいことじゃなくて、素晴らしいこととして、子どもたちに伝える必要性があるなと思った」と話します。
作画を担当した戸沼りささんは、視能訓練士として働きながら、2人の男の子を育ててきました。
3年前、青木さんの講演を聞き、性教育について考え始めました。
「もっと大人になってから伝えるものなのかなとか、なあなあにして学校で教えてくれるかなって思っていた。伝えるためのツールがないというか、何かきっかけがほしかった」と話す戸沼さん。
物語は、精子が卵子と出会う「性教育らしい」話から始まります。
戸沼さんは、「最初は性教育って科学的な話をするのかなって思っていて、絵本もハウツー本を作ろうと提案しようと思っていた」と話します。
しかし、そこで突き詰めたのは、一つのテーマでした。
「性教育は命のお話」
「生きているだけで素晴らしいこと、そういうことが根本なんだって」
産まれてくることの奇跡を喜び合う。
「命の始まり」を、丁寧に紡ぎだします。
「赤ちゃんの誕生シーン」は、10時間かけて描いた絵を、1から書き直すほど、こだわりました。
戸沼さん「最初はもっと小さな命が産まれましたって素朴な感じで描いていたんですけど、もっと喜びを出してほしいって言われて」
青木さん「産まれたときはやった、やっと生まれた、やっと会えたーっていうのを、この1ページで表現してほしかった」
戸沼さん自身にも、当初はためらいがあった性教育。
絵本のサンプルを、わが子に読み聞かせ、変化に気付きました。
戸沼さん「お父さんの何億っていう精子が、お母さんの卵子のひとつに一個だけ出会って、それがこんなちっちゃい卵になったんだよ。それがこんなに大きくなったじゃん。それってすごくない?っていったら、『ほんとだ、僕ってすごい』って。息子の自己肯定感がすごく上がっているのが顔を見てわかった。性教育って『あなたが産まれたことは奇跡なんだよ』と伝えられる素晴らしいものなんだなって、胸がいっぱいになりましたね。」
視覚から伝わるものが多い絵本だからこそ、こだわったのは「リアル」です。
おなかの中の赤ちゃんの大きさや向きは、
現役の助産師さんなどからもアドバイスをもらいました。
行間の幅も、文字の大きさも、読み聞かせる側を意識しています。
そして子育ての「リアル」も追求しました。ワンピース姿だったお母さんは、子どもが産まれると、動きやすいパンツルックにスニーカー姿へ。
おもちゃや洗濯物が雑然とするリビングなども描くことで、ママへのエールも込めました。
出来上がった絵本は1000冊。
クラウドファンディングで支援してくれた相手に送ったり、直接届けて感謝を伝えたり。
保育の現場も、今、性教育を模索しています。
手稲やまなみこども園の大谷在我園長は、「保護者に理解してもらうこともすごく重要だし、そもそも保育士という仕事をしているものも、ちゃんと子どもに伝えていくということがなかなか伝承されていない。我々も学んでいくべきだし広めていくべきだ」と話していました。
「いきている ただそれだけで」
命に精いっぱいの愛情をこめて。
絵本の表紙と裏表紙を重ねると…そこには大きなハートが浮かび上がります。
青木さんは、「性教育って難しく考えないで、産まれてきたことってキセキ、すごくあのときうれしかったって声をかけながら、お父さんお母さんもあの時の気持ちを思い出すっていうのが日常の中にあったらいいなって思います」と話していました。
絵本「いきている ただそれだけで」は
紀伊国屋書店の札幌本店・厚別店・小樽店、岩内町の小林書店で販売されています。
※2月26日には絵本の出版記念イベントを開催予定。最新情報はインスタグラムでご確認ください。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2023年1月13日)の情報に基づきます。
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