2023.01.10
みがくはじめまして!寅嶋静香(とらしましずか)と申します。
私は、大学での研究や、ママさんをサポートするNPOの活動を通して、「女性の健康と運動との関係」を追いかけてきました。追いかけ続け、気がつけばもう25年超!そして、そのうち約10年ほどは、転勤を機に住むようになった北海道での活動でした。
出会った女性は、道内、道外トータルで、3,900人以上にもなりました。子育てをしている方、していない方、そもそも結婚を選ばなかった方……いろんな女性と出会う中で、多種多様な体と心のお悩みにも触れてきました。もちろん、私自身も、悩んだり困ったりを何度も繰り返し、考えてきた女性の一人です。
ライフステージ毎にいろいろな悩みは出てくるものですが、特に女性の場合、体の変化なども加わり、女性特有の悩みも抱えがち。
このコラム「ココロ伸ばし・カラダ伸ばしのワン、ツー、スリー」では、私がいままで見聞きしてきたエピソード、また自分の体験をまじえながら、女性が自分のココロとカラダを労わるためのコツを、簡単&時短な運動と共に、ゆるっとお伝えしていきたいと思います。
さて、今回は、「月経に伴う心身の不調」についてお話しします。「PMS」という言葉を最近、耳にすることも増えましたが、こんな症状にこころあたりはありませんか?(図1)
多くの方が、これらのどれかを、一度は経験しているのでは?
こういう「うー、つらい!」と毎月折り合いをつけながら働き、人によっては子どもを抱え、生きる。
「生物学的に、女性はほんと大変だわ〜」と、研究すればするほど思います。
じゃあ、このつらさに立ち向かう方法はないのか!?というと、実はあります!それが「運動」です!
……なーんていうと、「体にいいのはわかるけど、運動キライなの〜」という声がさっそく聞こえてきそうです。
そうなんですよね、運動って「嫌われ者」になりがち。
でも、そこにまつわる誤解も、ぜひ、解いてもらえたらと思います。
運動というと多くの人は、ムキムキになるための激しい筋トレや、心拍数爆上がりのランニングなどを想像しがちです。でも、月経に伴う心身の不調に必要な運動は、それとは別!
ケアになる運動とは「ゆるやか〜に体を動かすこと」なのです。
なんなら余剰脂肪も燃えて一石二鳥!科学的にも効果的と立証されています。
(※図2参照)
といっても、忙しい中でわざわざ運動のための時間を作るというのはなかなか難しいもの。
それなら、ちょっとだけ、のんびり歩く時間をつくるだけでもOK。
歩くことだって、月経にまつわるつらさをやわらげる立派な「運動」の一つなのです。数十分歩かないと意味がない、なんてことはありませんよ。気付いたときにちょこちょこ実行することが一番大事。そう思うと、運動のハードル、だいぶ下がってきませんか?
もちろん、この時期の北海道の寒さは百も承知!
無理して外を歩けとは言いません。
おうちの中をうろうろ、でいいんです。暮らしの中で無意識にしている動きを、少し意識してやってみる。
そして、ダメ出しではなく、“少しでもできた自分”をめちゃめちゃほめる!
それが、とっても効果的な「ケア」になるんです。
さて、今回は、月経関連の不調時におすすめの【股関節周辺のストレッチング】を紹介します。
3秒程度で終わるお手軽さなので、気がついた時にぜひどうぞ。子宮を支える筋肉の血行促進をはかり、経血の滞留を防いでくれるストレッチングです。少しお部屋を暖かくして、静かにゆっくり呼吸しながら行うと、お腹の痛みやイライラした気持ちも、少しずつ落ち着いてくることでしょう。
①床に座り、両足裏をあわせて、その両足を包み込むように両手で掴みます。
②息をふーっと吐きながら3~5秒間、背中は丸めずに股関節から上半身を倒します。倒す時、「少し股関節周辺が伸びていて、痛いような気持ちような……」という感覚であればOK。
③息を吐ききったら、上体をゆっくり元へ戻します。冷え性予防にもなりますよ。
★余裕があればこちらもおすすめ!
①足を広げて、内ももをさすりながら開脚します。
②ゆっくり息を吐きながら3~5秒間、足を伸ばします。
③息を吐ききったら、ゆっくり元の姿勢へ。
こころもカラダも、ゆったり、ワン・ツー・スリー!
明日も、みなさんが元気な1日を過ごせますように。
***
■プロフィール:寅嶋静香(とらしましずか)
京都工芸繊維大学研究員。一般社団法人フィジカルケアラボ 理事。
2001年東京大学大学院 生命環境科学系身体運動科学講座終了 PH.,D(専門:運動・スポーツ生理学)
女性と運動の関係を研究するかたわら、「産後こそ、母になったご自身を大切に……」を合言葉に、科学的なエビデンスに基づく、安全・安心を担保しながらの産後の母親支援(健康サポート)を北海道内で12年間実施。このほか、更年期女性へのケア講座なども道内各地で実施。主な著書に「バウンス運動の生理学的基礎~バランスボールで弾む運動の科学的分析~」(ブックハウスHD、2022年8月)
Edit:ナベ子(Sitakke編集部)