自然素材へのこだわりが人気の化粧品メーカー「SHIRO」。
北海道・砂川発祥で、世界に29店舗を展開する人気ブランドです。
そんなSHIROが、創業の地、北海道で新たな分野に挑戦しています。
それは、「間伐材」を使った宿泊施設の建築!
「森の再生」とも大きく関わる、新たな挑戦。
SHIROの今井浩恵会長に、想いを聞きました。
先月末、札幌市内の森に入った今井会長。
そこでは、「木こり」の陣内雄さんが間伐の作業をしていました。
「もともとやっていたことは、生産者に会いに行って想いを聞いて製品を作ること。同じやり方で、『建物を建てたい』という考えになった時には、山に入って『木こり』に会って、自分たちで木を選んで使う」と今井会長は語ります。
赤く丸印が付いた木。
印が付いた木を伐採し、印が付いていない木は残します。
「地面から次の世代の木が生えてくるように、光をコントロール」するために間伐するといい、「昔あった森を再生するために切っている」と陣内さんは語ります。
陣内さんが大きく伸びた木の根元に斧を振り下ろすと、大きな音を立てて木が倒れます。
切り倒された、樹齢50年以上の大きな木。
しかし、間伐材は、樹齢が50年を超えていても細かったり、不ぞろいだったりするなど、建築には向いていないといいます。
それにも関わらず、SHIROがあえて間伐材を使った宿泊施設を建てるには、わけがありました。
「この木は50年かけて生きているので、50年使ってもらえるものに100%転換してあげないと。それが本来の森林の再生のあり方ですよね」と今井会長は語ります。
それから数週間後、森から、間伐材が運び出される日。
現場では設計を担当する建築士らが顔を合わせました。
どのくらい間伐材の大きさを残すかなど、やり取りしながら木材を運び出していきます。
実は、宿泊施設の設計図は、まだ、固まっていません。
間伐材の太さや量にあわせ、設計を変更していくからです。
「設計士が図面を描いてそれに合わせて木を切りまくって、森がどんどん疲弊していって、地球環境が狂っているのが現状。そうじゃない本来のやり方でやってみたい」
「これを10年やればみんなが『なるほどな』と思う時代になる」と今井会長は語ります。
SHIROは、栗山町の酒造会社から出る酒かすを使った化粧水など、本来なら捨てられてしまう素材を生かした商品開発が人気のブランドです。
今回挑戦する間伐材を使った宿泊施設は、そうした化粧品の開発とも共通しています。
来年秋に長沼町に完成予定の「SHIRO」の宿泊施設。
建築の分野に、新たな価値観を生み出そうとする挑戦は、始まったばかりです。
※掲載の内容は番組放送時(2022年11月23日)の情報に基づきます。
■名前も知らない人の子を身ごもって…孤立した妊婦の未来を変えた、ある出会い【後編】
■ 「生きやすいように生きた」男性の体に生まれて、女性になるまで。今、願うこと
■ヒツジの”えー太”と暮らす、24歳。ヒツジに託す夢【旭川・江丹別町】
記事一覧:【いろんな価値観や生き方に触れたい】