秋になっても相次ぐ、クマ出没。
農作物の被害に悩む農家の救世主となるのか?新たなクマ対策を調査しました。
連載「クマさん、ここまでよ」
十勝の中札内村。役場前に、大学教授や機械メーカーのスタッフたちが集まって来ました。
現れたのは岡山理科大学の辻維周(つじ まさちか)教授です。
クルマにひかれるなど道路による影響で野生動物が死ぬ、「ロードキル」研究の国内第一人者です。
しかし今回のミッションはクマ対策。
中札内村では 毎年ビートやデントコーンなど、クマによる農作物の被害が相次いでいます。
向かったのは、山の近くにある観光名所「桜六花(さくらろっか)公園」です。
そこにあったのは?
公園に設置された不思議なカタチの機械。
ソーラーパネルやカメラなど、様々な装備がつけられています。
これが、クマ対策の新アイテム。
その名も”くまドン”です。
地元岡山で農作物を食い荒らすイノシシへの対策として、効果を発揮したのが”いのドン”。
辻教授は、音によって野生動物との距離を保つ研究をしてきました。
決め手は、スピーカーから出る音。
イノシシが嫌がる低い周波数で、イノシシを追い払います。
これを、北海道でのクマ対策にも生かせないかと、周波数を改良した装置が”くまドン”なのです。
依頼があった自治体や生産者の土地に設置し、実証実験中です。
その効果は?
9月16日に撮影された映像です。
クマは、”くまドン”が発する音に驚き、あわてて逃げて行きました。
”くまドン”はクマが近づくと、センサーが反応し、クマが嫌う周波数を発します。
今年春に中札内村に設置し、効果を発揮して来ました。
中札内村・住民課の田中志拓主査は、「去年まで毎年のようにクマが出没していた。この公園で、今年は目撃情報もゼロ。すでに十分効果があると考えている」と話します。
富良野のメロン農家・阪口輝郁さん。「クマがこのネットを破った。たぶん1発でしょうね。去年は支柱を折られました」と話します。
メロンを作り続けて47年。
阪口農園では毎年、メロンの収穫時期になると、その甘い香りに誘われて、クマが畑近くに出没するため、”くまドン”の設置を、辻教授に依頼しました。
ことし8月の夜10時近く。1頭のクマが、畑近くに現れました。
何かを探し始めるクマ。そのとき…!
“くまドン”の音が鳴り、クマが逃げていきました。
阪口さんは、「畑に入ってこないようになれば、僕らも安心」と話します。
生産者も期待を寄せる”くまドン”。
開発のキーマンの辻教授が目指すのは、人とクマとの適正な距離です。
辻教授は、「“くまドン”で、ここから先は人間世界なんだと、野生生物と人間の境界線を明確にしていきたいと思っている」と話していました。
連載「クマさん、ここまでよ」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2022年10月25日)の情報に基づきます。
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