2022.09.17
SitakkeTV札幌の地下歩行空間で開かれていた、「かわいい似顔絵やさん」。
ほんの15分で、特徴をとらえたかわいい似顔絵ができあがります。
描くのは、イラストレーターのヤマモトクミコさん。
海上自衛隊に10年ほど勤めてから、出産を経て、独学でイラストレーターになったという、変わった経歴の持ち主です。
絵を描くのは、子どもの頃から大好きだったといいますが、なぜ、一度ちがう仕事に就いて、母親になってから、夢に挑戦できたのか。
その「きっかけ」は、思いがけない人がくれました。
ヤマモトさんがイラストで表現してくれたのは、自身が小学生時代の一コマ。
左手にいるヤマモトさんは、イラストを描くのに夢中で、ほかはなにも目に入っていません。友だちと遊ぶよりも、隙さえあればずっと絵を描いていたといいます。
その姿にあこがれていた同級生がいたことを、大人になってから知りました。
離れた場所からヤマモトさんを見つめていた女の子。「優等生で、勉強ができて、友だちの多い」子で、ヤマモトさんとは違うタイプの子だったといいます。
その同級生とは、橋澤小百合さん。
小学校・中学校の同級生でしたが、同じグループでもなく、卒業後も頻繁に遊んでいたというわけでもないといいます。別の高校に進み、ヤマモトさんは海上自衛隊に、小百合さんは医療系の仕事を選びました。
ただ、25歳でお互いの勤務地が横須賀になったり、同じ時期に子どもを産んだりと、ゆるやかに偶然のつながりが続いていました。
それぞれ就職して10年ほど経った頃、仕事を辞めることに。小百合さんは家族で千葉の長生村に移住。3年ほど前から、「HANAP」という会社で、養蜂家を始めました。
新しい事業を始めて、ロゴがほしいと思った小百合さん。そのとき思い出したのが、小学生の頃から持っていた、「クミちゃん(=ヤマモトさん)といえばイラスト」というイメージでした。
小百合さんは、「自分の想いを表現してくれる、信頼のおけるイラストレーターに頼みたいと思ったとき、それができるのはクミちゃんだと思った」と話します。
その頃ヤマモトさんは、趣味としてイラストをSNSにあげ始めていたとき。それでも小百合さんは、ヤマモトさんにロゴの制作を「仕事」として依頼しました。
なぜ「友達なんだから無料で」ではなく、「仕事」として依頼したのか尋ねると、不思議そうな表情で「無料でという気持ちは初めからなかったです。私にはできない、素晴らしい能力なので。尊敬しているんです」と話していました。
ヤマモトさんにとっては、はじめての仕事の依頼。
「びっくりしました。子どもの頃は絵ばっかり描いてて、誰かに覚えていてもらえるとも思っていなかったので、『見てくれていた人がいたんだ』って。ずっと仲良くしていたわけではなくて、20年ぶりくらいに縁がつながって…不思議ですね」
ロゴには、ハチもハチミツも描かれていません。
小百合さんは、「ハチミツを売るだけではなくて、ほかにも体にいい、子どもも安心して使える自然由来の製品を作りたい」という想いがあり、広がりを持てるようなデザインがよかったといいます。一言では言えない、小百合さん家族の子どもや自然への想いがこもったロゴとなり、「とても気に入っている」と話していました。
養蜂をゼロから勉強して、大変だけれど「家族で長く続けられる仕事っていい。家族3人がずっと一緒に過ごせて、子育てを2人で一緒にしているというのは幸せ」と話す小百合さん。
そんな自分らしい幸せを見つけた小百合さんが、ヤマモトさんにも前に進むきっかけをくれたのです。
ヤマモトさんは、「子どもを産んで、10代の頃のように夢を追っていいとは思っていなかったんです。でも、子育てで忙しいときこそ、好きなことをしている時間が大切で、イラストが心の息抜きになっているので、私にとってはすごくいい選択肢だったかなって思います」と話します。
小学校の頃、イラスト以外目に入っていなかったヤマモトさんと、その姿を遠くから見つめていた小百合さん。
それから20年以上が経った、いまの2人も、イラストで表現してくれました。
ミツバチに向き合う、穏やかな表情の小百合さん。そして、ペンを握り、イラストの世界に入り込むヤマモトさん。
離れた場所で、ちがう夢に挑戦しながらも、どちらも上を向いていて、その姿でお互いを励まし合っているかのようです。
ヤマモトさんは、「子どもを育てながら生きている女性って、自分のことは二の次で、夢を諦めがちだと思うんですけど、『やりたいことを諦めなくていい』って思えるような、きっかけになる存在になれたら嬉しいなって、ちょっと思っています」とほほ笑んでいました。
あなたには、前に進むきっかけになった出来事はありますか?
これからSitakkeで、読者から寄せられた「明日へのきっかけ」を、ヤマモトさんがイラストにしてくれます。
詳しくは、こちらの記事で↓
【あなたの”きっかけ”になった「コトバ」はなんですか?】
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イラストレーター・ヤマモトクミコ
・海上自衛隊員からイラストレーターに転身したストーリーはこちら↓
【なぜ?】自衛隊に約10年つとめた彼女がイラストレーターに転身。いま伝えたいこと。
ヤマモトさんの似顔絵イベントは、9月21日~27日まで大丸札幌で開催される『SaTeMa サツエキテシゴトマルシェ』内でも開かれます。
HANAP
・千葉県長生村でハチミツやミツロウを製造
・ネットショップのほか、ふるさと納税でも入手可能
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