ゆらりとやわらかく揺らぐような姿形に、プクプクと浮かぶ気泡。そら豆ガラス商店の村山敬史さんが作る吹きガラスには、どんなものも包み込んでくれるような懐の深さが感じられる。村山さんは、旅先で出会った吹きガラス体験に心を奪われ、小樽や北広島のガラス工房で経験を積み、2012年に独立。以来、自前の店舗はなく、全国のクラフトイベントでその作品に出合えるのみだったが、2018年、江別市内に念願の直営店をオープンさせ、妻の裕子さんと一緒にガラス作品と古道具の販売と週替わりのキッシュランチを提供するカフェを切り盛りしている。
ガラス作品の店というよりは、古物や食器、素敵な雑貨が揃うセレクトショップ。オープンさせるにあたり、古物商の免許を取得した村山さん。店内の什器類もほとんどが商品だ。「ガラスをただ売るんじゃなく、その場で体験してもらいたい。買わなくても『ガラスって何かいいね』って思ってもらえるような空間を作りたかった」とは村山敬史さん。妻の裕子さんも、「ガラスだけ見て『今日は良いのなかったねー』って手ぶらで帰るんじゃなく、コーヒーを飲んだり他の雑貨を見たりして、いろんな切り口で楽しんでもらえたらいいなって」と続ける。
カフェのメニューは「大好きだけど専門店がないから」と始めることにした季節の野菜をたっぷり使ったキッシュと、こちらも裕子さんが10年以上にわたって大ファンだという「ちよじ屋」の大福。オリジナルブレンドコーヒーは仲良しの石狩市「みちみち種や」の加藤夫妻が作ってくれたもの。これらが村山さんのガラス作品や、作家ものの陶器などで供される。店を構成する一つひとつの要素について話す表情があまりにもいきいきとしているから、2人にとってそれらがどんなに大切なものであるかがひしひしと伝わってくる。ガラス作品は、暮らしの中でこそ本当の良さが引き出されるのかもしれない。
村山さんがガラス作家になったきっかけは、旅先で体験した吹きガラスの美しさに魅せられたこと。真剣な職人の姿や溶けた高温のガラス、そして出来上がった作品の微妙な歪みや、水を入れた際の光の反射、他の素材と組み合わせたときに見せる思わぬ表情の変化も。初めて話を聞かせてくれたときに「どの工程でもきれいだから」と教えてくれた村山さんの思いは、さまざまな角度からガラスの楽しみ方を提案するカフェというカタチを取って、また新たな一歩を踏み出した。(取材時期 2018年10月)
住所 江別市上江別西町43-1
電話番号 011-839-1631
営業時間 11:30〜17:00
定休日 日・月曜
URL https://www.instagram.com/soramameglass/
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(Sitakke編集部追記)
「そら豆ガラス商店」の作品は、スロウ編集部が5月下旬に帯広でオープン予定のセレクトショップ「SLOW living」にも並ぶそう。
今回、「SLOW living」で扱う予定の作品を、特別にもうひとつ教えてもらいました。
のどかな自然や動物たちの「物語」が込められた、マトリョーシカについては、こちらの記事でご紹介しています。
→ https://sitakke.jp/post/2792/
「そら豆ガラス商店」についてご紹介したSitakkeTVの動画は、こちらの記事でご覧ください。
→ https://sitakke.jp/post/2921/