2021.12.23

暮らす

Google 検索ランキング発表!2021 年、北海道民が検索したのは ?

Googleが発表した2021年の検索ランキング。都道府県別に見てみると、北海道では「新しい旅のスタイル」や「柴咲コウ」がランクインする中、第5位に「熊」が!

動物園で会えばかわいい、でも山や人里で遭遇すると怖い「熊」。HBCが12月25日(土)午後3時半から放送する「今日ドキッ!年末報道スペシャル」でも、ことし道内で起きたクマにまつわるニュースをまとめ、クマとの共生のあり方を探っています。

そんな「注目ニュース」となっている理由は、クマによる死傷者数が、ことし道内で記録史上最多となっているからです。6月には、札幌市東区の住宅街にクマが出没し、4人が重軽傷を負いました。

「クマに会ったらどうしよう?!」と思って「熊」と検索した方も、多いのではないでしょうか。暮らしに役立つクマ情報をまとめてご紹介します。

①かつての“常識”には、実はリスクが・・・

「クマに会ったら、荷物を置いて逃げる」と聞いたこと、ありませんか?自治体のホームページにも書いてあるほど、“常識”とされてきた手段ですが、実は、リスクがあるんです。

クマは本来、人を襲いたいとは思っていません。しかし、突然出会って驚いたときや、子グマが近くにいるときは、身を守るために襲うこともあります。札幌市東区に出没し4人に重軽傷を負わせたクマも、専門家は「住宅街に迷い込んでパニックになった」と分析しています。

札幌市東区の住宅街に迷い込んだクマ(ことし6月)

そのため、クマに「積極的に人を襲いたい」と思わせるのが、避けたいこと。もしも、クマは離れた場所から落ち着いて様子を伺っているのに、人が慌てて荷物を置いて行ってしまったら…。

クマが荷物に興味を持ったり、中に食べ物や飲み物が入っていてその味を覚えてしまった場合、クマに「人に近づくといいことがある」と学習させる可能性があるのです。

クマの専門家である、酪農学園大学の佐藤喜和(さとう・よしかず)教授は、「ほかに選択肢がない状況では、何か気を引くものを置くこともありかもしれませんが、食べものや飲み物が入っている場合には、クマに人と食べものの関係を結びつけて学習させるので後のリスクを高めます。避けたほうがいいと思います。また、クマはいったん手にしたものへの執着はすごく強いので、絶対に回収してはいけません」と話します。

ちなみに、「荷物を置いたほうが身軽に逃げられるのでは」と思うかもしれませんが、「走って逃げる」のは最も避けるべき対処法。クマは走るものを追いかける習性があるので、襲う気のないクマさえ引き寄せてしまいます。

詳細:「クマに会ったら荷物を置いて」?自治体も発信する「常識」、実はリスクが…【じぶんごとニュース#6】(https://sitakke.jp/post/1347/)

② 備えていても「かまれた」人も・・・生死を分けたのは?

クマに気づいたとき、まずは止まって、落ち着いて様子を見ることが大切です。しかし、ときには、すでに興奮状態のクマに出会ってしまうこともあります。

クマにかまれ大けがをしながらも、一命をとりとめた男性が、Sitakkeに当時の状況を打ち明けました。

道内のある山の中。男性は、鈴やクマスプレーを身に着けて、あたりを注意しながら行動していました。しかし突然、すでに攻撃態勢に入ったクマが向かってきました。

資料:クマスプレー

「足音が聞こえたときには5メートルほどの距離まで来ていて、顔もはっきり見えました。でもクマスプレーに手をかける暇なんてありません。クマだと気づいたときには、もうかまれていました。本当に速いですよ…」

足や手をかまれながらも、必死に抵抗した男性。しかしクマはとうとう、首にかみつきます。

そのとき、男性と一緒に山に入っていた人が、なんとクマに立ち向かいました。枯れ枝でクマをたたき、足で蹴ったそうです。するとクマは逃げて行ったといいます。

「よく逃げずに助けてくれたと、本当に感謝しています。1人だったら、命はなかったでしょう

胸ポケットに入れていた携帯電話には、穴が空いていました。「それで心臓が助かったかな」

すべてのけがが、わずかに急所から外れていました。ICUでの入院を終え、男性は一命をとりとめました。

ヒグマの会・副会長の山本牧(やまもと・まき)さんは、クマが突然攻撃してきたことには「理由がある」と指摘します。

クマについて講演する山本牧さん(2018年)

「クマには男性をその場から遠ざけたい理由があったと考えています。近くに食べたいものがあって奪われないようにしたか、子グマが近くにいて守ろうとしたか、どちらかの可能性があります」

山本さんは、新しい鹿の死体や、子グマを見かけたときは、「クマが人を遠ざけようと攻撃的になる可能性がある」と考え、来た道を引き返すのが得策だといいます。

ただ、山本さんは、今回のケースは「2人の行動に大きな問題はない」と言います。

男性は鈴を持っていたほか、クマスプレーもリュックの中ではなく、すぐに使えるよう体に結び付けておくなど、装備をしっかりとしていました。

山本さんは、「男性は心構えや準備を十分していました。さらに、一緒にいた人が逃げずに立ち向かったのは、なかなかできることではありません。もちろん自分が危険にさらされる行為なので、必ずしろとは言いませんが、2人の行動はみごとなものです」と話します。

道の統計では、単独より複数人でいるほうが、クマとの事故の発生率が低い傾向があります。特に、同行者がいるときの死亡事故は、この30年間で0件です。今回、突然の防ぎようのない事故でも、命が助かったのは、男性の備えと、一緒にいた人の存在があったからなのです。

クマに攻撃された当時のことを、克明に語った男性。「話しているうちに鳥肌が立ってくる」と言いながらも、熱心に話してくれたのは「これ以上、被害が増えてほしくない。気を付けてと伝えたい」からだと話していました。

詳細:「クマだと気づいたときには、かまれていた」それでも命が助かった理由は?【じぶんごとニュース#7】(https://sitakke.jp/post/1572/)

③クマ対策のカギを握るのは・・・

これ以上、被害を増やさないために、何ができるのか。そのヒントは、後志の島牧村にあります。

2018年夏 島牧村に出没したクマ

2018年夏、島牧村では、毎日のように住宅地にクマが現れ、庭や小屋を荒らしました。村は地元の猟友会に出動を依頼。連日夜通しのパトロールが行われ、クマは2か月後に駆除されました。

その騒動を見ていて、「クマ対策は猟友会だけに頼っていてはいけない!みんなでやらなくてはいけないんだ」と気づいたという住民がいます。

吉沢茉耶(よしざわ・まや)さん。クマ騒動の5年ほど前、村でユースホステルを営む男性と結婚し、移り住んできました。

吉沢さんは、クマ対策のカギは「」だと考えています。

この夏、クマが執着していたのは、生ゴミで堆肥を作る「コンポスト」でした。村はクマを引き寄せるものを外に置かないよう、呼びかけを続けていましたが、村の主幹産業は漁業。ウニの殻や漁につかうエサを外に置く習慣を変えることは難しく、クマを引き寄せ続けてしまったのです。

日頃から、「クマと会わない」ための方法をみんなが知って、実践していたら・・・。

吉沢さんには、結婚前、クマの調査や対策に携わった経験がありました。島牧村で起きたことは「全道に共通する課題が背景にある」と考え、クマ対策への想いが再燃。

吉沢さんと娘のはるちゃん(当時4)

「全道のクマ対策を変えたい」と、翌年から娘のはるちゃんを連れて引っ越し、クマ対策に先進的に取り組んできた「知床財団」で短期職員として学ぶことを決めました。

小学生になったはるちゃんは、「かあちゃんはクマ対策の人だからね」「はるもがんばるよ、かあちゃん応援してるよ」と声をかけてくれるといいます。

最近は、「クマ対策は人間対策だからね」と話すそう。クマを引き寄せるゴミを率先して拾うなど、吉沢さんの一番身近で、「クマとヒトとの付き合い方」を学んでいます。

小学生になり、島牧村でゴミ拾いをするはるちゃん

詳細:夫との距離、500キロ以上!コンプレックスを志に変えた「クマ騒動」【こう生きたっていい#1】(https://sitakke.jp/post/1067/)

来年はどうクマと向き合う?

ことし道民の関心を集めた「熊」。「もしも会ったら?」「会わないためには?」などなど、クマたちが冬ごもりをしている間こそ、知識を蓄えるチャンスです。

来年はどうクマと向き合っていくか、道民ひとり一人が考えることが、被害を減らすことにつながります。

関連:今日ドキッ!年末報道スペシャル リアル北海道―2021年の軌跡―

文:Sitakke編集部IKU

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Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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