北海道から新しいものをつくり続けるクリエイターたちの視点や素顔を覗くコラム「HOKKAIDO CREATOR INTERVIEW 」。
第3回は、毎月季節の旬の3つの味がポストに届くアイスの定期便、「1歳からのおやさいアイス Pocco」を手掛ける萩原美緒さんにSitakke副編集長が伺います。

萩原美緒/コロッケ株式会社 代表
1983年生まれ。青森県出身。クックパッド株式会社でコーポレートブランディング、採用責任者、海外事業部のオペレーション。cookpadTV株式会社で新規事業の責任者を務める。2019年2月、コロッケ株式会社を設立。子どもが夕食を楽しく待つことができる、北海道産素材を使った食前アイス「Pocco」を2020年7月に発売。
コロッケ株式会社

誕生のきっかけはこどもへの“罪悪感”?

― 萩原さんよろしくお願いします!Poccoを最初に聞いた時、今までにないサービス、商品ですごい画期的に感じました。開発するきっかけどんなことだったんですか?

5年前に北海道に家族揃って移住して来たんですが、東京にいた時と比べて、こどもが野菜やフルーツとか、本来食べてほしいなと思っていたものをすごく好きになったことに驚きました。
と同時に、“おやつに対してすごく罪悪感を持っているな”と気づいて、それなら、こどもたちがすごく好きになった北海道の食材で全国の親御さんの罪悪感が減って、家族で晩ごはんを楽しく囲むことができる。そんな、ごはんの前に食べても大丈夫なおやつが作れたらいいなって思ったのがきっかけです。

― おやつに対する罪悪感って??

共働き家庭でよくあることだと思うんですが、こどもを保育園に迎えに行って、帰宅して、そのあと晩ごはん作るとなると、それまでの間にこどもがすごくお腹が空いてしまって、何か食べちゃうんですよね。
これでも食べておいてとお菓子を渡すんですけど、そうすると止まらなくなって、いざ晩ごはんができた時に「お腹いっぱいで食べられない」という。

後から、“お菓子でお腹をいっぱいにしてしまったという罪悪感” と共働きでなかなか家族で過ごす時間がただでさえ少ないのに “晩ごはんを一緒に囲めなかったという罪悪感” が混ざってしまって、毎日その晩ごはんに関する悩みが消えないなと思ってたんですよね。
それが私にとっての罪悪感で、東京で同じく共働きをしていた友人たちも「そう!あるある!」っていう、晩ごはんの前どうしていいか分からないって言う声がすごく多かったんで、この感情を解決したいなと思いました。

移住の決め手は“自分で作り出すこと”への魅力

―ご家族揃って、しかも東京から北海道移住って環境もがらりと変わりますが、萩原さん思い切りましたね!笑

実は、移住は私もすると思ってなかったんですよね(笑)
私が産休中に、夫が前の会社を辞めタイミングで、長女は保育園児で気がつけば、「あれ、いま東京にいる意味ないね」っていう話になりました。
人生の中でそんなこともそうそうないかもしれないから、3ヶ月限定で住んでみたかった場所に住もうという話をして、たまたま北海道に。
観光客気分で、3ヶ月で帰るんだと思っていたので知らない世界をいっぱい見てみようとミーハーな気持ちで行ってました。

せっかく北海道にいるなら、色々な方たちに会いに行ってみようと、農家さん、酪農家さんとかいろいろな方々に会いに行きました。
そうしている中で、やっぱり私は自分たちの手で何かを作り出している方々へのあこがれがほんとに高まってしまって・・・自分もそちら側に行きたいなという風に思うようになったんです。
あと、こどもがほんとに食が細い子だったんですが、どんどんいろんなものを食べるようになった姿を見て、北海道ってほんとに生活する上で素晴らしい環境なんじゃないかなと思うようになって、気づけば移住してました(笑)

家族で食卓を囲む時間が増え、会社を一緒に経営する夫の学さんや娘さんたちといる時間が何よりの幸せという萩原さん。試作は必ず家族全員で試食するという。

― 今日は冬向けの新作に向けての試作の様子も拝見しましが(詳しくはSitakkeTVをチェック)、すべて一からの商品開発ってなかなか大変なことも多いんじゃないですか?

そうなんです。「常温でポストに届けたい!」ことが絶対譲れなかったんですよね。やっぱり共働き向けでしたし当時は段々とコロナ禍に入って行ったっていうのもあって、荷物の量が流通している量がすごく増えているというのも聞いていたので配達員の方にも負担を掛けたくないと思っていました。

なので常温流通させるアイスを作ることは食品開発をされた方なら「え、そんなの絶対無理じゃない?」って仰ったりされますし、私たち自身もほんとにそういう原材料あるかなとか、技術的に可能かなとか不安になるタイミングが多かったですね。
あとは、まだ商品がなくて実績もない状態で、「できます!やります!」っていろいろな取引先に宣言していくのは辛いというか大変でした(苦笑)

季節の3つの味、現在は(左)りんご/(中)キャロット/(右)ハスカップ。ほかにもグレープや北海道の日高地方で穫れた「すずあかね」を使ったエシカルストロベリーもある。

商品化にあたっては、私たちが宮の森(札幌)の杉原商店さんで売っている野菜、果物がすごく大好きで、実はこども向けのおやつを作りたいと相談したんですよね。そしたら杉原さんがいろいろな方を繋いでくれて、試作したものも定期的に召し上がって感想を頂けるアドバイザーのような役割になっていただいて、加工や原材料のプロの方にアドバイスもいただきながら一緒に走りながら作ってきました。

東京の野菜も美味しいとは思うんですけど、“新鮮”っていうのが北海道は鮮度が違うんだと思いました。いろいろ勉強していくにつれてそもそもの野菜の力、素材の力が大きいんだなと思いましたね。これまで、いろいろな食材をかけ合わせて300通りぐらいレシピ作ってますね。そのなかで家族がみんな「おいしい」って言ったものが、商品化した4つなんです。

共感で広がるPoccoの“輪”

― Poccoを利用されているユーザーさんからの反応どうでしたか?

思っていたよりも良かったです!発売当初、“晩ごはんの前の課題”に共感して下さる親御さんが多くて、一時期、売り切れになるぐらいにまで・・・共感して下さったんだなと思い、やっぱりすごい嬉しいですよね。

― InstagramやTwitterでは「#アレンジぽっこ」「#pocco_me」で子育て世代のママパパからの投稿がたくさんありますね!萩原さんの想いへの共感が広がっているのを感じます。

そうなんです! Poccoはアイスとして召し上がるというシーンだけを想定していたんですけど、ユーザーさん自身がアレンジレシピとしてPoccoの使い方を広く見出してくださって、楽しんでいらっしゃる様子っていうのは本当に予想していなかったことなので、すごく嬉しいです。凍らせても美味しい、アイス以外の食べ方もできるラインナップを増やしていきたいと思ってます。

PoccoのSNSでは不定期で「どんな野菜をお子さんにおやつで食べてほしいですか」というアンケートをしたり。あとは、育児の悩みや今モヤモヤしていることだったりをテーマにしてSNSで繋がったママたちと共有してます。

― 萩原さんの原動力って?

Poccoを通じて、「何かを解決して、誰かが喜ぶ姿がすごく好き」ということに改めて気づいたんですよね。
もともと起業したいとか事業を作りたいという目的はなくて、気づいたら事業を始めることができていて、それはやっぱりお世話になった方々のおかげなので、とにかく北海道に恩返ししていきたいですね。

― 社名のコロッケに込められている“食卓をぱっと明るくできる存在”の名の通りPoccoのこれからが楽しみです。萩原さんのこれからの展望は?

実は最近、ヘルシー志向の大人がこどもと一緒に召し上がるっていうこともすごい良く聞いて、お子さんだけではなくて家族で一緒に囲めるものとして、大人も美味しいし、子どもも一緒に食べられて、なんか一つのものを囲んで共有して美味しいねって言える空気ってすごい素敵だと思うので、これからは家の中だけではない様々なシーン対応できるようなおやつを、また北海道産の食材で作っていきたいと思っています。家族みんなで食卓を囲む日常を楽しんでもらいたいなと思います。

Poccoを使ったアレンジレシピ

カマンベールチーズフライ

<材料>
カマンベールチーズ 1個
パン粉 適量
揚げ油 適量
Pocco「わがままグレープ」 1本

<作り方>
①カマンベールチーズを好みの大きさに切り、パン粉をまぶす
②170~180℃に熱した油で、パン粉がこんがりするまで揚げる
③Pocco「わがままグレープ」をつけて、出来上がり

レシピブックはPocco定期便の利用者に配布中です。気になった方はPoccoの公式サイトチェック!
北海道まるごと!1歳からのおやさいアイス Pocco

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文: Sitakke副編集長
取材日:2021年9月21日

バックナンバー
HOKKAIDO CREATOR INTERVIEW #1|yukky(イラストレーター)
HOKKAIDO CREATOR INTERVIEW #2|岡元優子(佐藤堂 店長・パティシエ)

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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