2024.08.30

深める

【悩み】自分のセクシュアリティがわからず悶々としてしまう…確かめた方がいいもの?#69

あたしなりのAnswer

さて、エゾモモさん。
あなたからの願いは、自分のセクシュアリティについて「どうすれば確かめられるか、または執着しない方が良いのかアドバイスを」というものだったわよね。
そうね。ちょっと迂遠(うえん)な道を通りそうですが、ここからはあたしの考えを少し綴ってみることにしようかしら。

セクシュアリティを確認しておくべき?それとも固執しないべきか?

まず、自分のセクシュアリティを確認しわかっておくべきか、はたまたそこに固執しないべきか、というところからだけれど。
そうだねぇ。あたしこの点については「そもそも"わかる"という幻想にとらわれないでほしいな」って思うんだよね。

なんだか「自分らしさ」という単語が大きなものとなり、「自分のことをきちんと知って愛そう」という発信が、様々なSNSを通じてそこかしこで見られるようになった昨今。
あたしは個人的に今の社会って、おのれを把握した上で自らの持つ輝きを放つことへと、みんなが強迫観念的に向かわされているなって感じているの。
しかも、セクシュアリティに関する話題となると、なぜかなおのことそう。

だから、もし例えば昨今流行りのMBTI診断みたいに、ぽちぽち画面をタップして「あなたはレズビアン!」とか出せるのであれば、知識としておさえる上では楽なのかもしれないけれど(実際そういうサービスもあるとは聞いたことあるけどね)。
エゾモモさんには、そういう類の「分かり方」に囚われてほしくはないなって、あたしは思ったんです。

むしろ。
自分のことを確かめようとも、執着を手放そうとも、どう思っていようともいいから。
エゾモモさんには「分かる」「分からない」の地平で考える前に、ぜひ「動いて」「行動して」みてほしいなって。そっちの方がきっと視界がサッと開け、あなたの今希求しているものが見えやすくなるだろうなって。
かつてあなたと同種の悩みを抱えていた人間としては、そう感じているの。
伝わるかしら。

「動いて!」なんて言われても……と思うかもしれません。うん、それは真っ当。
そうね。例えばあなたの場合、レズビアンの交流会に行ってみたり、コミュニティを支える飲食店やバーに行ってみるというのが、あたしとしてはそれはもうしっかりオススメしたい選択肢。

さっぽろレインボープライドの関連イベントにもそうした企画がありますし、言わずもがなパレード自体に参加するというのも、きっとひとつの「動き方」として有効なんじゃないかしら。

「他者」と出会っていく中で…

誰かと知り合い、触れ合うことを通じて「そうか!自分はレズビアンなんだな」と得心がいくかもしれない。
はたまたそこで「うーん、なんだかやっぱり色々違う」となれば、それはそれでいいんです。そこからは満を持して、執着を捨てていけばいい。
大事なのは、そう思い至るまでエゾモモさんが身をもって事に向き合ったかどうか。

あれこれひとりで想いを巡らせるのではなくて、自分が「そうなのかな?」と思うセクシュアリティを自己のアイデンティティーとしている他者に出会い、話をするために足を運んでみる。
そのアクションがもたらすであろう納得は、単なる知識を超えた説得力を持っているはず。

(多分そんな意味で、泥酔しながらも勇気を出してゲイバーに飛び込んだ10年前の自分に、あたし今でもどこか感謝しているんですよね)

月並みな表現かもしれませんが、人と人とが出会わないと、物語は始まりません
恋も愛も、仕事も友情も。なんなら、そうしたものと一線を置くあり方でさえも。
エゾモモさん、ぜひ自分のセクシュアリティというか、生きていく方向を確かめる(あるいは「確かめることをやめよう」と決断する材料を手に入れる)ために、あなたにはいろんな人と実際に知り合い、おおいに語り合ってみてほしい。
そうした邂逅がきっと、あなたのこれからを明るく照らす、いい導き手となってくれるはずだから。

文字通り「体感」すること。
そしてその積み重ねを、自分のこれからへの一歩にしていくこと。
甘くも苦くもあるかもしれないけれど、その味わいの豊かさ、実りの確かさは至高のもの。

エゾモモさんが自らのアクションを大いに楽しみ、この世を自分にとっての飛翔の舞台としてくれることを、コミュニティの仲間としてこころから応援しています!

ま・と・め♡

ということで、今回はセクシュアリティを主題に筆を走らせてみました。
冒頭にも書いたけれど、さっぽろレインボープライドが近づいてきているこのタイミングでこのお手紙。なんだか感慨深かったわぁ。

9月14日と15日(土日)。2日間にわたって開催される札幌のLGBTQパレード。
その存在は、エゾモモさんのようなモヤモヤを抱える人たちにとって、どうか少しでも資するものであってほしい。
あたしは、7年間主催側で関わってきた身として、真剣にそう思っています。

よし、準備頑張るか。会場でみんな、待ってるからね。
ではまた次回。Sitakkeね〜!

***
文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部 ナベ子
***

満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「 さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

この記事のキーワードはこちら

SNSでシェアする

  • X
  • facebook
  • line

編集部ひと押し

あなたへおすすめ

エリアで記事を探す

FOLLOW US

  • X