2024.09.01
暮らす目的の山に早く登りたい…そんな思いから、荷物を置いていく登山者が多いといいます。
クマが荷物の中の食料を食べてしまうと、「人の持ちものは、おいしい」と学習し、人に付きまとう危険性が高まります。
環境省 大雪山国立公園管理事務所のアクティブ・レンジャー、村岡龍岳さんは、「人やものに対して執着してしまうと、大きな事故につながりかねないので、こういったことは控えてもらうよう、環境省として周知していきたい」と話します。
荷物を置いていた登山者が戻ってきました。
村岡さんが「白雲岳山頂まで行ったか」と声をかけると、登山者は「いや途中で…。クマがいました」と答えました。
環境省のスタッフが、「デポ(荷物を放置)すると、クマにちょっかいかけられると思う。この辺、クマが多い」と注意。登山者は謝罪していました。
白雲岳避難小屋の管理人・田村萌さんは、テント場で、「雪渓の下に水たまりがあるが、横の斜面から現れたり…」と指さします。
ここ数年、子連れなど複数のクマが出没。そのクマを撮影しようと、近づく登山者がいることも問題になっています。
北海道山岳整備の岡崎哲三代表は、「ヒグマが、テント場のすぐ脇の草地を食べに来た。親子クマだった。10人ぐらいの登山者がロープの際に、ずっと並んで写真を撮る。管理人が『できるだけ離れてくれ』と、さんざん声かけしても、登山者は全く動かない」と話します。
国立公園などの特別地域では、野生動物への餌やりや著しく接近することなどは、自然公園法で規制されています。
岡崎代表は、「これからエサやりや接近がどんどん積み重なってきたときに、ふとした拍子に、大きな事故が起きる可能性がある」と危惧しています。
この日も、避難小屋から400メートル先で歩く1頭のクマが…。このときは、登山者が遠くから見守っていました。
大自然や野生動物と、いかに共存していくか。それは、人間側の自覚にかかっています。
登山の際は、以下のような対策が呼びかけられています。
・ビジターセンターなどで出没情報確認
・「人慣れクマ」出没なら計画変更を
・クマよけ鈴・スプレーの携帯を
山に入るときのクマ対策について、この連載と連動するサイト「クマここ」で、専門家の監修のもとご紹介しているポイントをもう少しくわしくお伝えします。