2021.09.04
深める北海道から新しいものをつくり続けるクリエイターたちの視点や素顔を覗く不定期コラム「HOKKAIDO CREATOR INTERVIEW 」。
第2回は札幌のシメパフェ文化を牽引する、行列のできる人気パフェ店「パフェ、珈琲、酒、佐藤」が8月にオープンした道内初のピスタチオ専門店『佐藤堂』店長兼パティシエの岡元優子氏にSitakke副編集長が伺います。
岡元優子/佐藤堂 店長・パティシエ
札幌ベルエポック製菓調理ウェディング専門学校を卒業後、札幌市内の洋菓子店や飲食店でパティシエ経験を積む。4年前、「パフェ、珈琲、酒、佐藤」を運営するアリカデザインのフードコーディネーターに。本店店長・パティシエとして市内4店舗のフードコーディネートも担う。
パフェ、珈琲、酒、佐藤
― 岡元さんよろしくお願いします!まずは『佐藤堂』オープンおめでとうございます!佐藤堂どんなお店ですか?
ありがとうございます!
ピスタチオを主役とした、ピスタチオに特化した専門店になります。
「パフェ、珈琲、酒、佐藤」の一番人気のパフェ「塩キャラメルとピスタチオ」のパーツのひとつ、ピスタチオをパフェじゃないものでできないかなと思い、テイクアウトできるお菓子を作りました。
― ピスタチオ専門って斬新ですよね! ピスタチオ菓子だけで12、3種類もあって商品開発、大変だったんじゃないですか?
お店がオープンする前の約半年間、どんな菓子にするか試作を重ねていく中でいろいろありましたね(笑)
通常だとお店が忙しいので、発案したり試作をする時間がなかなか取れないんですが、コロナ禍で時間もあり、なにか商品開発できないかという所から始まりました。
特に大変だったのは、ピスタチオの配合や、生地に入れるクリームがピスタチオを入れる量によって全然味が変わってしまうので、他のパーツには負けない、でも他のパーツを殺しすぎないようにするのがすごく大変でした。
商品開発で思い出に残っているのは「ピスタチオのシュークリーム」(399円)。
自分で一から開発した商品になるんですが、他のお店では食べられないピスタチオ感ってなんだろう?と思いながら試作を続けて、調理機材によって状態がかなり変わってきてしまったり、真ん丸に焼くのも難しかったり、カスタードにピスタチオのペーストを入れる具合や見た目など、試行錯誤して出来上がった商品になっています。
― 岡元さんがパティシエになられた、きっかけっていつですか?
小さい頃からお菓子が好きで、「ケーキを作ってみたい!それをいろいろな人に食べてほしい!」という夢をずっと持っていて、製菓専門学校のパティシエ科に入りました。
卒業して札幌の洋菓子店で働き、一度ちょっと離れようと思い飲食店に入り、“本日のケーキ”のメニューを作って自分なりのケーキづくりを追究して、4年前にパフェ佐藤に入りました。
― 店長としてパティシエとして、日々、大切にされていることってどんなところですか?
大切にしているのは“佐藤さらしさ”“佐藤のお店・ブランドらしさ”を求めてやっています。
道産食材を使った素材へのこだわりもあるんですが、高ければ良いというわけでなく、高級だからこれを使ったら美味しいにはならないので、
作るものによっていろいろ変えていく、何が適切なのかを考えてながら、ひとつひとつを丁寧に手作りで仕上げることにこだわっています。
― 佐藤堂のお菓子たちひとつひとつを見ているとこだわりが伝わってきますね~ 小さい頃からの菓子づくりの夢を実現されているなかで、岡元さんのターニングポイントっていつですか?
1年半前ぐらい、本店の店長を任されて、そこがこれまでの人生での自分の中でのターニングポイントです。
「よっし!やんなきゃ!」って自分のスイッチ入りましたね~(笑)
いちパティシエと店長兼パティシエとでは違う所しかなくて、商品開発を任されるところが多くなったので、今まで受け継がれてきた”佐藤”をそのままではなく、もっとアップグレードしていく、任されたことは期待されているんだと思って、“佐藤らしいけど私らしい”をずっと探し求めています。
― これから出てくる菓子たちが気になります!岡元さんのさらなる夢だったり野望ありますか?
今まではパフェを開発することしかやっていないので、今回、佐藤堂ができたことでケーキ、洋菓子のジャンルまで佐藤の幅が広がったので、ここでしか食べられないし、私が作ったものを目当てに来てくれるというお客さんを増やしたいです!
パフェ佐藤をもともと知っている人には馴染みがあるお店に、まだ“佐藤”を食べたことがない人にも食べてほしい、お家に持って帰って家族で食べてほしいなと思っています。
住所:札幌市中央区北5条西4丁目 大丸札幌店 8階
営業時間:11:00~21:00
座席:カウンター23席
電話:011-212-1375
パフェ、珈琲、酒、佐藤
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~取材を終えて~
オープン直前の佐藤堂にお伺いすると、真剣な眼差しで菓子の出来上がりを丹念にチェックする岡元さんがいた。
そもそもピスタチオとは?から素材の研究を重ねて、試作も試行錯誤の連続だったという。ピスタチオの一粒から色とりどりの菓子を十数種類も新たに作り出すのは、もはや魔法であり芸術家だと感じた。
小さい頃からの夢を追い続ける岡元さん。優しい笑顔の中に、菓子づくりへの挑戦を続ける炎を感じた。岡元さんが作り出す“私らしい佐藤の味”をぜひご賞味あれ。
文: Sitakke副編集長
取材日:2021年8月20日