2024.03.29
深めるだからね、バジルさん。
まずあなたには、これからぜひいい仲間を見つけてほしい。でも、見つかったとしても消えない不安があるんだって、その後わかってくることになるかもしれない。あたしは正直そう思う。
そんな決して明るいとは言えない気持ちになって、自分にかげりを感じた時のためにも。
なんなら、今まさに抱いているスッキリしない気持ちを、吹き飛ばすためにも。
あたしはあなたに、こんな歌をおすすめしておこうと思います。
「ラ•カージュ•オ•フォール」というミュージカルの代表歌として知られるこの曲。タイトルの意味を日本語にすれば「私は私」とでもなるのかしら。
パートナーたちから拒絶され、孤独と絶望のふちに立たされたひとりのドラァグクィーン、ザザ。彼女がそれでも希望を胸に披露する熱唱は、多くの人のこころに突き刺さり、長らくLGBTQのアンセムとして愛されてきました。
様々なアーティストたちによるカバーでもよく知られています(今回は最も有名なGloria Gaynorバージョンを)。
「自分は自分よ、賞賛も哀れみもごめんなの」「あたしらしくいるってだけで、何かを弁解する必要があるわけ?」と、背中をしっかり押してくれる歌詞は、きっとバジルさんにも響くはず。
あたしは特にね、人生をトランプにたとえながら「自分の手札は自分で配るの。1(ace)を引いたり、2(deuces:ポーカーの用語だと「ワンペア」とも訳せる)の時もある。」って歌うところが好き。ひとりだろうがペアだろうが、自分らしく生きたいと望む気持ちって、みんな根のところは変わらないんだよなぁって気持ちにさせてくれるから。
バジルさん。あなたがこれから歩んでゆく道は明るかったり暗かったり、時によって様々だと思います。いつか恋をするかもしれないし、しないかもしれない。そんな自分を「大丈夫かな」って、再び案じる瞬間もあると思う。
そんな時はこの曲、よかったら思い出してください。
きっとあなたを導く道標として、力強いメッセージを都度くれるはずだから。
あたしもなんだか、この文章を書くことで救われた気がする。ありがとう!
バジルさんにそう願っているように、あたしもあたしらしくいることを諦めず、これからを歩んでいこうと思います。
おたがい、それぞれの幸せを生きていこうね!
あなたのことを、これからも西創成の地から応援し続けていますよん。
というわけで、今回はアセクシュアル/アロマンティックについて紹介しながら、最近ひとりのゲイとしてずっと悶々としていた気持ちの吐露までをもさせていただきました。笑
ちょっとずつ、この社会は変わってきている気がするの。
同性婚訴訟は、それを象徴するひとつの希望の光、とはいえ、様々な意味での生きづらさが、そこかしこにまだまだ実は潜んでいるようにも思うんだよね。
ひとりでも多くの人が「自分はこれでいいんだ」と、己の人生をプライドと共に進めるようになるために。あたしも自分なりの発信を続けていこうと思います。
ではでは皆さん、Sitakkeね〜!
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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部 ナベ子
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「 さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。
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