2024.03.29
深める日本でもようやく広がり始めた考え方だけれど。
誰かが誰かに対して持つ「好き」は、まず2つの異なる方向性に分けることができます。
ひとつは、相手に性的な魅力を抱くという「セクシュアル」な方向性。もうひとつは、相手を親しみでもって恋慕する「ロマンティック」な方向性です(あたしの場合、この2つの「スキ」がいずれも男性に向くというわけね)。
この2つの観点を使うことで、近年可視化されてきた性のあり方も存在します。それが「アセクシュアル」と「アロマンティック」。
それぞれ、他人に性的感情/恋愛感情を持たないというひとつのセクシャリティ。自分のアイデンティティとして名乗りをあげる人も、最近少なくないのよね(統計では人口の1%とも)。
性的な感情は抱かないけれど、誰かにロマンティックな気持ちを抱く人もいれば。相手をセクシーに思ったりはするけれど、恋愛感情は湧かないという人もいたり。どちらも無いよという人もいて。「好き」を持たないと一口に言っても、実にさまざまタイプの当事者が日常を送り、この世界に事実生きています。
「Aro/Ace」という名前で調べると、そうした人たちのコミュニティや、ピアサポートの会にも出会えるの。
そう、バジルさん、あなたにまず伝えたいのは、周りには今いなくても、あなたと同じような感覚を抱いたり、似たような経験をしている人は確実にいるってこと。
これを知るだけでも、あなたの今抱いている違和感や不安感、もしかしたらかなり緩和されるんじゃないかしら。
もちろん、ここであたしはバジルさんのことを「アセクシュアル/アロマンティックだ」と勝手に診断したいわけではないんだけれど。
もしかしたらこの言葉たちとの出会いが、あなたの生き方を少し楽にしてくれるかもしれないとは、割と真剣に思ってるのよね。
時間があれば、ジュリー•ソンドラ•デッカーの『見えない性的指向 アセクシュアルの全て』(2019年/明石書店)を読んでみて。めちゃくちゃわかりやすい文体で、より詳細な情報を手にできるはずだから。
バジルさんに向かって「大丈夫!仲間はいるのよ!」と、大きな声でエールを投げかけたくなるあたしが、雪解けを迎えつつあるすすきののはずれにいるのでした。
でもおそらくね、仲間がいるってだけでは解消されない不安やモヤモヤっていうのも、この世の中にはある気がするのよ。
だってさ、メディアやSNSを見ててもすんごいじゃん。
登場人物が恋愛やセックス、時にお付き合いをしてストーリーが進んでいくことが多かったり。
インフルエンサーが、そうした経験を前提とした話題で話し、フォロワーとワイワイ盛り上がっていたり。
この世の中ってなんだか、やっぱりどこか「惚れた腫れた」が中心軸にあって、誰かと「カップル」だったり「ふうふ」だったりすることがより良いものとされているような風潮、あるように思うんです。そしてその風潮に、あたしたちは普段の思考パターンまでふくめ、割とまるまま飲み込まれがち(これを「ロマンティック•ラブ•イデオロギー」なんて言ったりするけどね)。
だから、独り身のマイノリティとして生きていることや、なんならアセクシュアル•アロマンティックであることを、バジルさんも語ってくれているように、時に「自分だけ取り残されているのでは」と感じちゃうのって、もし素敵なコミュニティに属すことができていたとしても、きっとあるんじゃないかなぁ。
シングルのゲイであるあたしも、実はそう。今だって十分幸せなはずなんだけれど……恋人がいないこと、好きな人とつながれないことを、どこかおのれの罪みたいに考えちゃうことがあったりするんだ、正直なところね。
……なんだか一人語りになってしまったわね、ごめんなさい。苦笑
でも、比べるものは比べてしまうと思うのよ。理由こそ多々あれど「自分だけ相手がいない」ということに不安を抱く気持ちって、「そんな考え捨てればいいじゃん」と他人に言われたからって、おいそれと捨てられるものじゃない。
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