2024.03.26
深めるー究極ってカッコいいですね! どう活用できそうですか?
3DTV、言い換えれば「ホログラフィックTV」は将来的に実用化したい具体像の一つです。
WEB会議に活用すれば、相手が目の前にいる感覚でコミュニケーションも活発になるでしょうし、立体的なモデルを共有し、いろんな角度から見ることも可能です。遠方に住む家族、例えばおじいちゃんやおばあちゃんとリアルタイムで通信できれば、同じ空間にいる感覚を味わえて、心の距離がぐっと近づきそうです。
自動車の運転サポートにも使えると考えています。真冬、悪天候でホワイトアウトすることって、北海道の峠ではよくあるじゃないですか? そんな時、レーダー前方を撮影し、距離感も実際と同じように、好天時の様子をリアルタイムで、フロントガラスに映し出すことができたら、障害物を避けられて良いなと考えたんです。
また、ホロルーム、つまり空間全体をホログラフィで構成することも可能です。自宅にいながら森林浴気分を楽しむなんてことができます。
映画やゲームに使えば、臨場感たっぷりで楽しいでしょうね。CGでつくった仮想の物体を表示させることもできるので、憧れのアニメやゲームのキャラに会えるのも夢があるでしょうし、他にも活用できそうなことがいくらでも考えられるので、想像が広がります。
ー夢がありますよね! 近いうちに実用化される見込みなんでしょうか?
すでに実験室レベルでは,通信で遠くにホログラム動画を送るところまでは、実現できています。 ただ、先に挙げたようなことを実現できるのは、残念ながらまだ先になりそうなのが正直なところです。私が生きている間には難しいかもしれません(笑)
超えなければならない大きな課題がいくつかあります。一つは、表示デバイスに関して。電子ホログラフィでは、1mmのおよそ1/1000、数μm(マイクロメートル)間隔の微細なホログラムデータを表示できる非常に高解像度のデバイスが必要です。仮にTVサイズ(52インチサイズ)のモニターなら、1000K程度。現在使われているモニターは最大でも8K程度の画素なので、かなり遠いです。
さらにホログラムデータの生成には非常に複雑な計算が必要で、仮にスーパーコンピュータ並みの高い演算能力を誇るコンピュータでも即座に変換することは困難で、単純で小規模なものでも数秒から数分、複雑で大きなものでは数時間かかります。
榊原さんが開発中のヘッドマウントディスプレイ型の、電子ホログラフィの試作機。星が回転していて、まるで街中で見るイルミネーションのようでした!
他に、データが莫大になり伝送が困難なこと、伝送できたとしてもタイムラグが生じることも課題です。遠く離れた人と場を共にしているようなリアルな感覚を与えるにはリアルタイム通信が望ましいですが、簡単なことではありません。
ただ、近年の技術の進歩は目覚ましく、一昔前には想像できなかった勢いで進んでいるので、もしかしたら、という思いもあります。実現に向け、令和4年度より産学連携プロジェクトも進めています。