2024.03.24
深める今回の裁判で、判断されたのは以下です。
①憲法14条…法の下の平等
②憲法24条1項…婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない
③憲法24条2項…配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない
今回、札幌高裁は、同性間の婚姻を認めないことが、①・②・③のすべてに違反していると判決を下しました。
①の法の下の平等について定める憲法14条については、同性愛者に婚姻を許していないことは「差別的な取り扱い」にあたる、ということが判決理由です。
②の憲法24条の1項は、婚姻の自由を定めるもので、文言上では「両性間の結婚」について定めています。
③の同じく憲法24条2項では、婚姻について、個人の尊厳と両性の本質的平等に立った法の制定について定めています。
これらに関して、同性間の婚姻についても、異性間の場合と同じ程度に保障していると考えるのが相当である、とされました。
また、判決の中では、同性愛者はいまの社会の中で、個人の尊厳を成す人格が損なわれる事態になっている、とも指摘されました。
今回は高裁として全国初の判決となりましたが、同様の訴訟は、全国5つの裁判所で起こされています。
札幌高裁は「違憲」、名古屋地裁も「違憲」、東京地裁2件と福岡地裁は「違憲状態」、大坂地裁が「合憲」と判断が分かれています。
同性カップルの原告側の弁護団によりますと、同性カップルの原告側は「最高裁の判断が出ないと、国会が法改正に動かない」として、3月25日付けで上告する予定です。
今回の札幌高裁の判決について、法律に詳しい早稲田大学法学学術院の棚村政行教授は次のように話しています。
●今回の判決は同性どうしのカップルも婚姻の自由の中で保障を受ける存在であると明言した画期的なもの。
当事者に寄り添い、救い出すという思いを感じた。
●これから様々な人に勇気を与え、今後の控訴審でも後ろ向きな判決を出せないプレッシャーになり、立法に向けて国会も重い腰を上げて動かなければいけないのではないか。
満島てる子さんは、札幌高裁の判決を受けて、「立法府での議論もこの判決を前提とした上で進んでいってほしい」と話しています。
世界では多くの国が同性婚を制度化しています。
性別に関わらず、誰もが自由に結婚を選択できる社会は実現するのでしょうか。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年3月14日)の情報に基づき、一部情報を更新しています。
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