2024.02.04
出かける梶山さんは「スノーアート」を描く際、手書きでノートに描いて図案を考えるといいます。以前はCADなどを使ってパソコンで描いていたこともありますが、あまり上手くいかなかったのだそう。雪原を歩くときもコンパスやひもや棒などの道具を一切使わず、自分の感覚だけを頼りに描きます。
「道具を使うと“作業”になってしまうので、楽しくないんですよね。人と同じやり方や最初から絵を決め過ぎてしまうと面白くないので、自分なりのやり方を工夫して楽しんでいます」と梶山さん。雪の上では一度も図案を見ません。太陽の角度や光の当たり具合も、計算して描いています」
描いていると天気が悪くなり雪が積もってしまい、歩き直しすることもあるのだそう。中札内村は「十勝晴れ」といわれるほど晴天率が高く、天候にも助けられています。
『ゴールデンカムイ』のスノーアート製作について、梶山さんに連絡が入ったのは2021年12月。
「『ゴールデンカムイ』の連載完結を記念して、作品の舞台である北海道でスノーアートを描けないか?」と打診があったのだそう。1月にオンラインで打ち合わせをし、準備を進めていきました。
提案を受けたときには「ゴールデンカムイ」を読んだことがなかった梶山さん。実際に描き始める前には全巻買って読破し、作品に入り込んで杉元の気持ちを考えながら描きました。
製作期間は約10日間。当初は1週間の予定でしたが、完成間近で大雪が降り、描きなおすというアクシデントを乗り越えて完成させたそう。
「それまでスノーアートで人の顔を描いたことがなく、今までとは全く違う難しさがありましたね」と梶山さん。目や鼻の位置、眉の太さなどが少し違うだけでも別人になってしまいます。杉元は目の力強さだったり、アシㇼパは可愛らしさと凛とした表情を意識するなど、踏む回数で線に濃淡をつけたり線の太さなども微調整。
「特に目の角度が難しかった」と話します。線がつながっていないところは、ジャンプして飛び移るという工夫も。
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