2023.12.28
深めるみぃくんが産まれてからも、きみちゃんとちかさんにとって、羅希ちゃんは大切な第一子であることに変わりはありません。
2人の寝室にある羅希ちゃんの仏壇は、1年前よりもお菓子やおもちゃでいっぱいでした。
「みぃくんが産まれて、羅希ちゃんへの思いに変わったものはありますか?」
わたしの問いにきみちゃんは、少しうつむきながらもしっかりと答えてくれました。
「最初はやっぱり比較とか、みぃくんを見て『羅希もどんな姿になっていたかな』と考えることはあった。今も考えているけど、次は羅希にできなったかったことを、みぃくんにしてあげたいという思い」
それから半年。わたしは、札幌市内のカフェで3人と待ち合わせをしました。
久しぶりに会ったみぃくんはハイハイをして動き回り、見慣れないおもちゃに興味津々。
元気に成長していました。
こちらを見つめるみぃくんのクリクリとした瞳の可愛さに、思わずわたしも親戚のおばさんのようにシャッターを切ります。
2人は共働きのため、みぃくんは保育園に通っています。
そこでは、保護者を必ず「お父さん」「お母さん」などと呼ぶのではなく、どう呼ぶのがいいか聞かれたといいます。
きみちゃんは、「『私たちは名前で』とお願いしている」といいます。
「父親」「母親」という枠にとらわれず、男性どうしの両親として、自分たちらしい子育てをしていくつもりです。
ちかさんも、「そういう選択肢もあるんだと、考えが変わったりする人とかもいるだろう」と話します。
好きな人と一緒にいたい、家族をつくりたい。
その想いに「性別」という枠による制限はあってはならないし、願いを叶えようとする誰かの勇気を応援したい。
2人がずっと、抱いてきた思いです。
■「ぼくの中にも女性性?」アナウンサーが自分の“性”について考え込んでしまった理由とは」。
■こころが男性どうしのふうふと、2人の間に宿った新しい命を見つめる連載「忘れないよ、ありがとう」
■トランスジェンダーの息子と、その母親が、交代で心の中を語る連載「親の心、子知らず。子の心、親知らず」