2023.12.26
暮らす北海道で暮らすみなさんと、一緒に作り上げるWEBマガジン「Sitakke」。日常の「モヤモヤ・悩み」に寄り添う情報を届けるべく、2023年も、多くの記事を配信してきました。
その中で、ことし特にアクセス数が多かったTOP10位の記事の中から、編集部ピックアップとして7本分を再配信いたします。(同じ連載から複数記事がランクインしている場合は、ひとつにまとめて、最も読まれた記事を再配信します)
今回は、【第3位】にランクインした記事です。
第3位は、クマとの“いい距離の保ち方”を考える連載「クマさん、ここまでよ」から、「クマがヒツジの放牧地に…妻と10メートルの距離。でもハンターが「撃たなかった」理由とは【占冠村】がランクインしました。
2023年は、全道のみならず、全国でクマの出没が相次ぎました。
「駆除か保護か」という議論で、自治体やハンターへの苦情も相次ぎましたが、北海道では「クマが出たら必ず駆除する」というわけではありません。
ハンターが「撃たなかった」背景にある、ある村の考え方を紹介した記事です。(by編集部IKU)
以下、再配信です。(※2023年3月14日掲載時の情報です)
口をもぐもぐ動かして、草を反すうしながら、くつろぐヒツジたち。
大きく膨らんだおなかのなかには、赤ちゃんがいて、まもなく出産の時期を迎えます。
占冠村で「トマムシープファーム」を営む、有光良次(ありみつ・りょうじ)さん。
ヒツジとの暮らしには癒しを感じているといい、「こうして座って反すうしているときは、十分に食べられて、リラックスしている証拠なので、ヒツジ飼いとしては嬉しい光景ですね」と、穏やかな目で見つめていました。
動物と向き合うということ。
その意味を考えさせてくれた人のひとりが、有光さんです。
【前回:クマの住む村でも「安心できる」理由とは?‟野生鳥獣専門員”が積み重ねてきたもの】
人口約1400人、観光客も多く訪れる占冠村。
面積の94%が森林で、ヒグマやエゾシカもすぐ近くで暮らしています。
占冠村役場では「野生鳥獣専門員」として、浦田剛(うらた・つよし)さんを雇用しています。
大学で野生動物の知識を得ていて、ハンターの資格も持つ浦田さんは、被害や出没の調査・対応にあたっているほか、「クマに強い地域づくり」を、住民と話し合うことも大切にしています。
その話し合いの場で、運営などを手伝っていたのが、有光さん。
地域おこし協力隊として占冠村に入り、浦田さんとともに3年間、野生鳥獣と向き合う仕事を経験しました。
その3年間で地域と信頼関係を築き、広大な土地と、かつて牛を飼育していた建物を借りて、「トマムシープファーム」を開きました。
日本で流通する羊肉はほとんどが海外産で、国産の羊肉は希少。
国内の流通ルートは確立していないため、自ら道内外の飲食店に営業に行き、国産の羊肉の価値を伝えていると言います。
取材日は、屋内でくつろいでいたヒツジたち。
夏の間は、占冠村の自然の中で放牧され、のびのびと育っています。
クマとの“いい距離の保ち方”を考える連載「クマさん、ここまでよ」